Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月16日 No.3196  グローバル・リーダーに求められる資質・能力や育成に向けた取り組みを聞く -一橋大学大学院のアメージャン教授から/教育問題委員会企画部会

経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)を開催した。一橋大学大学院商学研究科のクリスティーナ・アメージャン教授から、グローバル・リーダーに求められる資質・能力と一橋大学での育成の取り組みについて説明を聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ グローバル・リーダーに求められる資質や能力とは

アメージャン氏はまず、今日のグローバル・ビジネスを象徴するものとしてiPadの例を挙げ、「デザインはカリフォルニア(アップル)、製造・組立は中国(製造企業は台湾のフォックスコン)、液晶は韓国(サムスン電子)、フラッシュメモリーは日本(東芝)、ソフトウェアはインドである。このようなグローバル・ビジネスのプロジェクト・リーダーやCEOを務められる人が今日のグローバル・リーダーである。端的には、『多様性から価値を創る』ことが最も重要な要素」と語った。また、グローバル・リーダーの資質や能力として、「文化、政治・経済の歴史の違い等に関する知識、誠実さなどの性格、多様な人の立場や考え方に関心を持ち、理解しようとする態度・志向、信頼関係を構築する対人関係能力などが重要である」としたうえで、「英語力は当然求められるスキルであり、日本人の英語力は低すぎるので、まずはその向上が求められる」と述べた。

■ 一橋大学のグローバル・リーダーシップ・プログラム

続いて、アメージャン氏は、一橋大学で商学部・経済学部がそれぞれにグローバル・リーダーシップ・プログラムをつくり、今年4月から学生の養成を始めたことを紹介。同氏がディレクターを務める商学部の「渋沢スカラープログラム」は、渋沢栄一をロールモデルに、21世紀の日本発のグローバル・リーダーを目指すものであり、選抜された約15名の学生は3年間にわたり、(1)英語による上級科目の単位取得(2)提携大学への1年間の留学(3)ディスカッション形式のゼミの履修――などを予定していると説明した。

■ 日本企業に望むこと

最後に、アメージャン氏は、「グローバル企業として知られるGEやエリクソンの取締役は、ジェンダー、人種等の面で多様性に富んでおり、同じような年齢の男性が揃っている日本の大企業とは対照的である」と指摘。日本企業でも、(1)トップから変革し、責任を下に委譲すること(2)多様な文化・国籍で構成されるチームで働く経験を若いうちから社員に提供すること(3)外国人社員に責任と挑戦の機会を与えること(4)失敗を許容・推奨すること(5)海外企業でのインターン・人材交流等によって go out する(海外に出て行く)こと――が必要であると強調した。

【社会広報本部】