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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年11月20日 No.3201 中間選挙の米国政治、通商政策、東アジア政策への影響を聞く -アメリカ委員会

経団連のアメリカ委員会(石原邦夫委員長)は7日、東京・大手町の経団連会館でネルソン・カニングハム元米大統領特別顧問、ならびにトーマス・ハバード元駐韓米国大使から、中間選挙結果が米国の政治や通商政策、東アジア政策に与える影響について説明を聞き、意見交換した。説明概要は次のとおり。

■ 「TPP交渉と大統領選の見通し」=カニングハム氏

今回の中間選挙の結果、共和党が飛躍的に議席数を伸ばし、上下両院を制することとなった。この背景にはオバマ大統領の外交、経済政策への評価もあるが、大統領選挙の年の議会選挙に比べ、中間選挙は投票率が低いことが大きい(2012年は投票率58%、今回は36%)。米国の有権者が支持政党を変更したわけでない。

今後、来年1月に新議会が召集されるまでの期間は、「レームダック会期」と呼ばれるが、政府予算案・エボラ出血熱・「イスラム国」への対応等、まさに課題山積であり、オバマ大統領と共和党が協力することが強く求められている。法人税引き下げなどでは、オバマ大統領、共和党、経済界の考えが一致しており、実現が期待される。

議会の修正なく一括での採択を可能とする貿易促進権限を大統領に付与することについても、進展の可能性がある。共和党は従来から貿易促進権限の付与に前向きであるが、問題は、オバマ大統領にどのような政治的な代償措置を求めるかということである。貿易促進権限の付与が実現すれば、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の妥結に向けた大きな進展が期待できる。うまくいけば、レームダック会期もしくは来年の第1四半期中に、貿易促進権限が付与される可能性がある。とはいえ、米国の政治日程を考えれば、TPP交渉を成功させるための「窓」はすぐに閉まってしまう。来年後半にずれ込めば、次の大統領の任期が始まるまで、交渉妥結を待たねばならなくなる。

投票所に行く米国民は、大統領選挙と中間選挙とでは同一ではない。大統領選挙ではより多くの有権者が投票し、若者、女性、ヒスパニック、アフリカ系米国人の割合が高まる。この結果、最近は、大統領選挙では民主党が票を伸ばす傾向にある。16年の大統領選挙でも、同様の傾向がみられるだろう。ヒラリー・クリントン氏が大統領選への出馬を決断した場合には、非常に有力な候補者となり得る。

■ 「アジア・リバランス政策は不変」=ハバード氏

民主、共和両党は、アジアにおける軍事歳出の拡大、TPP等による貿易促進など、アジア・リバランス政策支持で一致している。このため、今回の中間選挙結果によって、米国の対東アジア政策が大きく変化することはない。加えて両党は、東アジア地域における同盟関係を重視し、尖閣諸島をめぐる問題では日本の立場を支持している。さらに、南シナ海の問題では、中国への対応について同盟国を支援する必要性を共有している。

【国際経済本部】

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