Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年11月27日 No.3202  「地球温暖化対策に関する提言―日本の環境外交力への期待」公表 -国際枠組みや国内政策のあり方示す

地球温暖化対策に関する2020年以降の国際枠組みについては、来年のCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)までに合意することとされており、今後国内外の検討が本格化していくことが予想される。こうしたなか経団連(榊原定征会長)は12日、提言「地球温暖化対策に関する提言―日本の環境外交力への期待」を取りまとめ、求められる国際枠組みや国内政策のあり方を示した。

■ 基本的な考え方

温暖化は地球規模の課題であり、新興国・途上国を含む、すべての主要排出国が責任あるかたちで参加する公平で実効ある国際枠組みの構築が不可欠である。また、各国が経済成長を享受しながら対策を進めるカギは技術であり、新たな枠組みは技術開発・普及を促進するものとする必要がある。

■ 実効ある国際枠組みの構築に向けて

昨年のCOP19で合意した、自国の目標や対策等を含む「約束草案」を各国が自主的に提示する方式は、幅広い参加を促すうえで有効な仕組みと評価できる。日本政府には、各国が説明責任を果たしつつ、自ら目標を決定できることを主張することにより、すべての主要排出国の責任ある参加を確実に担保していくことが求められる。

また、優れた技術の国際的な普及や革新的な技術の開発への取り組みが、正当な評価を得る枠組みとすることも重要である。さらに、排出削減努力の国際的公平性を担保するため、各国の約束草案および温暖化対策等の内容を十分に分析していくことも求められる。

■ 優れた技術を生み出す国内環境整備に向けて

数値目標は、わが国の成長戦略を支えるエネルギーミックスを踏まえたものでなければならず、エネルギーミックスの策定を待たずに目標数値を設定するようなことがあってはならない。

また、責任ある目標を策定するには、特定の基準年からの削減率に拘泥せず、個々の取り組みを積み上げて設定すべきである。設定にあたっては2020年以降の国際枠組みにおけるクレジットの扱いが決まっていないこともあり、海外からのクレジットを含めない「真水」で設定すべきである。資金負担の帰属が明らかでないクレジットによるオフセット分を目標に含め、結果的に経済界に購入を求めるようなことがあってはならない。

加えて、温暖化対策全体について必要な総コストを示すとともに、国際的公平性を確保することも不可欠である。

国内政策に関しては、産業界の主体的な取り組みが競争力の維持・強化と温暖化対策を両立させることに大きく貢献することを踏まえ、経団連低炭素社会実行計画を政府の政策の柱に位置づけるべきである。

また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度と地球温暖化対策税は、優れた技術の開発・普及の原資を奪うものであり、抜本的に見直す必要がある。

さらに、家庭部門の排出増を踏まえ、家庭部門対策としての国民運動に関し、期待される削減量を約束草案に位置づけるとともに、環境大臣が中心となって積極的に取り組むことが求められる。

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/096.html 参照

【環境本部】