Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月4日 No.3203  「女性の活躍を成長の原動力に」 -林横浜市長が常任幹事会で講演

林横浜市長

経団連は11月5日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、横浜市の林文子市長から、「女性の活躍を成長の原動力に」と題する講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ 女性が活躍する社会をつくる

女性が活躍する社会をつくるには文化を変えることが一番重要である。日本では、諸外国と比べて、管理職に占める女性の割合が小さい。出産を機に6割の女性が仕事を辞めてしまう。

理念や方向性を語る時代は過ぎた。今は、できることを積み上げていけば必ず成果に結びつく。各企業はすでに取り組んでいると思うが、メンター制度は大事である。女性社員を育てる上司の力は大きい。上司が女性社員の相談役になって、女性社員を意識的に育てることが重要である。また、働き方の意識改革も重要であり、長時間労働を改めるとともに、男性が育児休暇を取得するよう、全企業、全市町村が取り組むべきである。

■ 女性の活躍推進に向けた横浜市の取り組み

国は女性の活躍推進に向けた政策を練り、法や制度を立案するが、それを実行するのは基礎自治体の役割である。基礎自治体は、推進に向けた具体的な施策を立案し、議会の議決を経て実行している。どんなによい政策も、基礎自治体が現場で実行しなければ成果が上がらない。

日本で女性が活躍できない障壁として、出産・子育てと仕事の両立を支える制度やサービスが脆弱なことが挙げられる。私が横浜市長に就任した後、「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市の実現」を目指すべく、「保育所待機児童ゼロ」を掲げた。認可保育所の整備を加速するとともに、保育所に入所できなかった家庭に電話をかけて丁寧にフォローするなど、フェース・トゥ・フェースで取り組んだ結果、2013年に保育所待機児童ゼロを達成した。翌年、保育所入所希望者数が約4000人増えたが、職員の努力で待機児童を20人まで抑えることができた。

小学校に上がった子どもの放課後の預け先に悩む「小1の壁」を打破するために、横浜市では現在、放課後対策にも取り組んでいる。

また、女性起業家の育成にも力を注いでいる。女性起業家のための会員制シェアオフィスである「F-SUSよこはま」を整備し、専門相談チームによる支援や、優遇利率による融資サービスなどをスタート。これまで56名の方が起業している。10月には、女性起業家が店舗運営を通じて販売戦略や資金計画などのノウハウを学ぶための試験販売スペース「クレアズマーケット」も開設した。そのほか、横浜で働く女性の学びと交流の場として「横浜女性ネットワーク会議」なども開催している。

私は、あるべき論を語るよりも、政策を一つ一つ実行することが、結果として大きなうねりになり、女性が働きやすい、働きがいのある都市を実現し、日本の社会経済を元気にすると考えている。

【総務本部】