Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月4日 No.3203  緊急人道支援活動の調整業務について聞く -社会貢献担当者懇談会

説明する渡部氏(左)と明城氏

経団連は11月17日、東京・大手町の経団連会館で社会貢献担当者懇談会(金田晃一座長、山ノ川実夏座長)を開催した。会合では国連人道問題調整事務所(OCHA)の渡部正樹神戸事務所長から国連機関や国際NGO等による人道支援活動の調整メカニズムについて、またジャパン・プラットフォームの明城徹也国内事業部長から東日本大震災での調整活動の事例について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「日本のNGOも調整メカニズムへの参加を」=渡部氏

国際人道支援のコーディネーションで中心的役割を担うOCHAの主な機能は、(1)現地で活動する各機関間の業務調整(2)情報管理(3)アドボカシー(提言活動)(4)資源動員(資金提供の呼びかけ等)(5)政策策定――の五つである。特に被災国で効率的・効果的な支援を実現するため、支援ニーズ等の情報収集と分析、設定した目標を達成するための共通計画の策定、支援者間の合意形成に基づく支援活動の実施、そして検証作業という「人道プログラムサイクル」の構築と運営に携わっている。

また国際人道支援の現場では、重複やギャップを避けるため、分野ごとに得意な団体が連携する「クラスター」と呼ばれるシステムが形成されている。そして実際の調整業務を担うコーディネーターには、コミュニケーション能力やリーダーシップといった民間ビジネスにも共通する基礎的な素養が求められる。

今後、日本のNGOには国際人道支援の調整メカニズムに対し、より積極的に参加してほしい。また、国連やNGOによる既存の調整メカニズムをさらに発展させて、民間企業等とのより密接な連携につなげていきたい。

■ 「東日本大震災による団体間のつながりをもとに調整ネットワーク構築へ」=明城氏

東日本大震災が発生するまで、われわれは調整を主導する経験がなかったが、OCHAのノウハウ提供を受けながら調整機能を担当することになった。その結果、宮城県では国・県・自衛隊・ボランティアからなる被災者支援四者連絡会議に参加し情報を得ることや企業からのさまざまな物資提供の申し出を現場と結ぶことができた。

個人ボランティアに関する情報は社会福祉協議会に集積される仕組みが定着したが、市民セクターの情報が集積される仕組みはまだできていない。震災を契機にできあがったつながりをもとに、市民セクターをどう結びつけるかが課題だ。われわれは市民セクターの支援の調整を行うとともに、行政や企業の支援を仲介するネットワーク「JVOAD(広域災害連携調整機関)」(仮称)の構築を目指しているが、行政との関係構築やコーディネーターの育成など、なすべきことは多い。

【政治社会本部】