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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年1月8日 No.3207 「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」を開催 -働き方改革によるダイバーシティ推進の実践を考える

経団連は12月18日、東京・大手町の経団連会館で内閣府との共催により「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」を開催した。同セミナーは、2014年4月に公表した提言「女性活躍アクション・プラン」に基づき、企業の管理職を対象として、女性を含めた誰もが能力を発揮できるマネジメントのあり方について考えることを目的としており、企業の管理職を中心に約90名が参加した。セミナーの概要は次のとおり。

■ 基調講演「ダイバーシティ時代の働き方~女性の能力発揮をどう進めるか」
武石恵美子法政大学キャリアデザイン学部教授

基調講演する武石氏

ダイバーシティ・マネジメントが重要とされる背景には、労働力が減少するなかでの人材確保への懸念や人材の能力発揮という観点に加え、グローバル化に伴う企業の人材戦略の転換がある。経営環境が急速に変化するなかでは、企業内部に多様な価値観を持つ人材を受容して、イノベーションを促進することが不可欠となっている。

女性の活躍推進を図るには、均等施策(管理職登用等の活躍推進)とワークライフバランス(WLB)施策(両立支援策を含むWLB支援)を同時に進める必要がある。均等施策のみを充実すれば、意欲が高く男性並みに働くことのできる女性の活躍しか進まず、WLB施策のみを充実すれば、女性の定着が進むが、人材活用面での問題が多くなる。日本企業では、これまで両立支援が先行している傾向にあり、均等施策の充実が女性活躍推進のカギとなる。

均等施策を進めるうえでは、女性の「仕事のやりがい」を高めることが重要であり、上司のマネジメントが極めて重要となる。女性のやりがいを高めるのに有効な上司の行動としては、「高い目標や課題を与えてくれる」「成長・活躍を後押ししてくれる」が、重要なポイントとして挙げられる。上司は男性部下には成長の機会として高い目標を与えるが、女性部下にはその傾向が弱いことが明らかになっている。上司の育成に対する姿勢についても、企業として啓発を促す必要がある。

WLB施策の充実については、両立支援策の導入に傾斜した施策推進だけでなく、育児や介護をしながらも長期的にキャリア形成ができるような働き方改革が重要となる。そのためには、企業の取り組みとして、経営トップの関与のもと、社員に時間制約があることを前提とした仕事管理・働き方を実現するために、管理職の意識、行動への働きかけやマネジメント支援を行う必要がある。また、職場のマネジメントとしては、業務全体の効率化を指向し、業務配分の見直しや時間生産性の評価、情報共有によるコミュニケーションの円滑化を行うことが重要となる。

これらの取り組みにおいて、最も重要な役割を担うのは管理職である。これからの管理職は業務のマネジメントだけではなく、部下のマネジメントに多くの時間を割かなければならない。多くの企業がダイバーシティを経営戦略ととらえ、すべての社員がその能力を活かせる働き方、マネジメントへの改革が進むことを期待したい。

セミナーでの事例報告

その後の事例報告では、第一生命保険人事部の吉田久子氏が、同社のDSR経営(価値創造経営)とダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みを説明した。

また、同社団体保障事業部の望月麻実子氏、団体年金サービス部の花井志乃氏から、それぞれの部署における業務改善のための運営体制や具体的な取り組みが説明された。

ワークショップでは、日経BP社執行役員の麓幸子氏をファシリテーターとして、「働き方改革」を進めるにあたっての阻害要因や、効果的な施策について参加者間での活発な討議が行われた。

【政治社会本部】

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