Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月12日 No.3211  連合との懇談会を開催 -今年の春季労使交渉めぐる諸問題について意見を交換

経団連は1月29日、東京・大手町の経団連会館で連合(古賀伸明会長)との懇談会を開催し、「今年の春季労使交渉をめぐる諸問題」をテーマに意見を交換した。

あいさつする榊原会長(右)と古賀連合会長

開会あいさつで経団連の榊原定征会長は、今がデフレ脱却と経済の好循環実現の正念場であるとの認識を示したうえで、積極経営を通じて企業収益を拡大し、設備投資や雇用の増加、賃金の引き上げにつなげていくよう最大限の努力をしていくとの意向をあらためて表明した。

一方、連合の古賀会長は、社会が不安定化するなか、春季労使交渉は「社会的対話の場」であるとしたうえで、(1)賃金の引き上げ(2)経済成長と社会の安定の両立(3)長時間労働の是正――の三つの課題に取り組んでいくと語った。

両会長のあいさつの後、連合は「2015春季生活闘争方針」、経団連は「2015年版経営労働政策委員会報告」に基づいて、今年の春季労使交渉における基本的な考え方を説明した。

連合側は、労働条件がいかにあるべきかを見いだすとともに、超少子高齢化、人口減少社会などの構造的問題に対し、労使が共に取り組むことが主題になるとの見解を示した。そのうえで、「賃上げ」「時短」「政策・制度実現の取り組み」を通じ、「デフレ脱却」「経済の好循環実現」と「底上げ・底支え」「格差是正」の実現に全力を尽くしていくことを強調した。

経団連側は、経済の好循環実現に主体的に取り組むとの意向を明確にするとともに、労使が生産性の向上を目指し、認識を共有していくことの重要性を指摘した。また、賃金決定は、適切な総額人件費管理のもと、自社の支払能力に基づいて行うことが原則であり、それに照らしながら、収益が拡大している企業に対して、ベースアップを含めた賃金引き上げへの積極的な対応を求めていくことを表明した。

続いて行われた意見交換では、連合から、デフレ脱却に向け継続的かつより一層の賃金引き上げが重要との考えから、月例賃金引き上げへの理解を求める発言があったほか、(1)中小企業に対する取引条件適正化(2)非正規労働者に対する賃上げの波及と正社員化推進(3)長時間労働抑制および生産性向上に向けたワークルールの見直し――が必要などの意見が出された。

一方、経団連からは、ベースアップ要求自体は理解できるものの、2%以上というミニマム基準は現実的ではないとの認識を示したことに加え、(1)企業活動のグローバル化や産業構造の変化といった不確実性を考慮した賃金決定が必要(2)新たな労働時間法制(高度プロフェッショナル労働制)の導入がわが国の経済発展に不可欠(3)経済全体での好循環実現に向けた地方との連携強化が重要――などの発言があった。

閉会にあたって、古賀会長は、これからの個別企業の労使交渉において、中期的な展望を踏まえた議論が行われ、踏み込むところには踏み込んでいくことが望ましいと総括。

続いて榊原会長は、懇談の成果を踏まえ、企業労使に、建設的で前向きな議論を通じて双方が納得できる交渉としていくことへの期待感を示した。また、年頭に発表した経団連ビジョンで描いた経済社会の実現に向けて全力で取り組んでいく決意を表明し、会合を締めくくった。

【労働政策本部】