Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月19日 No.3212  第23回日タイ合同貿易経済委員会開催

経団連は1、2の両日、タイのバンコクでタイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)と第23回日タイ合同貿易経済委員会を開催した。日本側から小林栄三日タイ貿易経済委員長、志賀俊之日タイ貿易経済委員会共同委員長ら64名、タイ側からスパントJSCCIB会長(タイ工業連盟会長)、イサラ・タイ貿易院長、ブーントック・タイ銀行協会会長ら約150名が参加した。会合ではプリディヤトーン副首相、チャクラモン工業大臣、ナロンチャイ・エネルギー大臣が来賓として基調講演を行った。またこの機会をとらえ、プラユット首相、プラウィット副首相兼国防大臣等閣僚を表敬訪問した。
会合の概要は次のとおり。

■ 第1セッション=日タイ経済情勢

冒頭、志賀共同委員長から経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」を説明。わが国経済を再活性化するうえで、(1)RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とTPP(環太平洋経済連携協定)を早期に実現することで、アジア太平洋地域のバリューチェーンの連続性を確保する(2)イノベーションを通じて医療、エネルギー、農業等の競争力強化を図るとともに、IoT(Internet of Things)、航空・宇宙等の新産業で付加価値を創出する(3)日タイ共通の課題である環境問題や高齢化社会に対応する――など、双方が協力して取り組める施策に言及した。

これに対しタイ側から、日本の省エネ技術の移転、農業分野でのわが国の知見・経験の提供に期待が寄せられた。あわせて、ビジネス環境整備や新投資誘致政策に関する説明があった。

■ 第2セッション=環境・エネルギー、新ビジネス等

環境・エネルギー分野に関し、タイ側から、二国間オフセット・メカニズムの導入に対する期待が示された。日本側からは、ICTを活用した電力のデマンド・レスポンスの実証事業について紹介した。また、新ビジネスに関しては、日本側から、エンターテインメント・コンテンツ分野の人材育成への取り組みを紹介するなど、未来志向で両国経済関係を展望した。

■ 第3セッション=中小企業間協力、経済連携の推進

日本側から、廃棄物リサイクルや工作機器の改修等、タイにおける中堅・中小企業の成功事例を紹介し、この分野での産業協力の可能性を探った。

経済連携の推進については、ASEAN経済共同体(AEC)の発足にあわせてRCEP交渉を妥結させるべく、日タイの経済界が協力することで一致した。また、日タイEPAに関し、日本側から、熱延鋼鈑の無税枠の縮小に対する懸念(無税枠の縮小はタイにおける自動車の現地生産コストを上昇させ、双方にとってデメリット)を表明。タイ側からは、日本による農産品の輸入拡大や産業協力・技術移転の推進に関する要望があった。

プラユット首相(左から4人目)を訪問する
小林委員長(同5人目)、志賀共同委員長(同3人目)ら一行

この機会をとらえ、小林委員長、志賀共同委員長ら日本側主要出席者が、プラユット首相、プラウィット副首相兼国防大臣、チャクラモン工業大臣を表敬訪問し、ASEANにおけるわが国最大の生産拠点であるタイとの経済関係を重視していることを伝えた。また、暫定政権が安定的な政権運営と民政移管の準備に努め、ビジネス環境整備に取り組んでいることを評価するとともに、民政移管の早期実現に期待を表明した。これに対し、タイ側から、政治情勢は安定しており、日本企業には引き続き、安心して各分野に投資してほしいとの要望が寄せられた。

なお9日には、プラユット首相が訪日し、榊原定征会長、岩沙弘道審議員会議長をはじめ経団連幹部と再び懇談した。プラユット首相は、あらためて民政移管に向けたロードマップを説明したうえで、日本企業による投資ならびに産業協力に対する期待を表明した(2月12日号既報)。

【国際協力本部】