Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月5日 No.3214  「2015消費者志向経営トップセミナー」を開催

経団連は2月19日、東京・大手町の経団連会館で消費者関連専門家会議(ACAP)との共催、消費者庁、経済産業省の後援のもと「2015消費者志向経営トップセミナー」を開催した。概要は次のとおり。

■ 開会あいさつ=根岸秋男氏(明治安田生命保険社長)

近年、企業を取り巻く経営環境のなかで、お客さまの声はますます重要になっている。お客さまの声を経営に活かすことが企業の発展につながると同時に、その対応を誤れば企業の存続すら危うくする。

生命保険契約は長期に及ぶため、契約後のフォローがお客さまの信頼と安心につながる。当社でも東日本大震災の経験から、その重要性を再認識しフォローの充実に努めているところである。今回のセミナーを「消費者志向経営」を推進するうえで参考にしてほしい。

■ 来賓あいさつ=松本洋平氏(内閣府大臣政務官)

来賓あいさつする
松本内閣府大臣政務官

安倍内閣が目指す経済の好循環の実現に向けて、消費者の安全・安心を確保し、不安を払拭することが不可欠である。

昨年来の食品の異物混入事件を契機に食の安全への関心が高まっているが、今回の問題は、商品・サービスを提供するすべての企業に警鐘を鳴らすものである。消費者からの情報を社内で共有し、トップが適切な判断を行うなど、消費者志向経営は企業のリスク管理の観点からも重要であり、一層の推進を期待する。

■ 講演1 「お客様満足経営を目指して」=福地茂雄氏(アサヒグループホールディングス相談役)

講演する福地アサヒグループ
ホールディングス相談役

アサヒビール、NHK、東京芸術劇場の経営に携わるなかで、お客さま、視聴者、観客の満足を考えてきた。その際の判断の軸足は、「常識は果たして常識か」「経験則を検証すること」「平均点は落第点」である。変化が一層激しくなるなかで、自己の常識にとらわれず、経験則を検証することが必要である。

また、人口が減少し、総需要が減るなかで平均点を目指していてはお客さまの満足は得られない。お客さまの満足のためには、何を経営理念に据え、判断の軸とするかが重要である。

■ 講演2 「消費者行政の目指す姿と企業に期待すること」=板東久美子氏(消費者庁長官)

講演する坂東消費者庁長官

近年、高齢化や情報通信技術・サービスの高度化に伴い、これらに関連する消費者相談の件数が増加している。消費者行政の司令塔として、「身近な行政」「頼りになる行政」「見える行政」を柱に消費者行政の強化に取り組みたい。

消費者行政の推進にあたっては、消費者、事業者、行政の三者の連携を図るとともに、事業者には、事業活動における消費者の安全の確保、消費者とのコミュニケーション等の消費者志向経営に向けた取り組みを推進することを期待する。

■ パネルディスカッション「消費者志向経営の推進に向けて」

パネルディスカッションでは、コーディネーターの高巖氏(麗澤大学教授)、パネリストの板東消費者庁長官、吉川萬里子氏(全国消費生活相談員協会理事長)、後藤綾子氏(カルビー執行役員)、佐分正弘氏(ACAP理事長)が、お客さまの声の経営への活かし方、行政や消費者相談の現場から企業に期待すること、持続可能な社会の形成に向けたさまざまな主体による連携の重要性等について意見交換を行った。

【政治社会本部】