Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月19日 No.3216  地球温暖化問題を技術で解決する~産業界の取り組み<11> -ZEHの普及によりCO2削減を目指す住宅業界

住宅業界は、低炭素社会実行計画のもと、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の推進により住宅のライフサイクルのうちで最もCO2排出量が多い「使用(居住)段階」における排出量削減を目指している。

■ 住宅のライフサイクルにおけるCO2排出量

図表 住宅のライフサイクル

住宅の耐用年数は、他の耐久消費材と比べて極めて長く、そのライフサイクルは図表1のように区分することができる。CO2排出量の内訳は、「資材段階」と「建設段階」を合わせて4.4%、「使用(居住)段階」で89%、その他で6.6%となっている(図表2参照)。したがって、「使用(居住)段階」でのCO2排出量をいかに削減するかが重要である。

■ ZEHの普及

建物躯体の高断熱・高気密化、高効率設備機器類のさらなる導入推進、太陽光発電、燃料電池、蓄電池、HEMS(Home Energy Management System)等の技術を総合的・一体的・効率的に用いることにより、ZEHの実現と普及を図っている。

■ それ以外の取り組み

ZEHの普及とともに次の(1)から(3)を継続的に実施することにより、ライフサイクルにおけるCO2の削減を推進していく。

(1)企画、設計段階における環境配慮

  1. 自然環境の保全・創出
    自然環境を取り入れた企画・設計を行い、自然との調和を考慮した住宅建設を推進し、森林等良好な自然環境の保全・創出を推進する。

  2. 良質な住環境の創出

    1. 耐震・省エネルギー改修工事等を含め住宅性能の向上、室内環境の改善、室内外の緑化等を推進し、住環境の向上に努める。
    2. 「住宅性能表示制度」の活用を推進する。
    3. 高効率設備・機器ならびに太陽光発電等の創エネルギー設備の普及を推進する。
    4. 高断熱・高気密住宅(平成25年省エネルギー基準適合住宅)の普及を推進する。
  3. 住宅の長寿命化の推進
    耐用年数を向上させる構造計画・設備計画・資材の選定を行うとともに、維持管理、改修工事をも考慮した企画・設計を行い、住宅の長寿命化により、解体を伴う再建築率の低減を図り、廃棄物の発生抑制に努める。

    1. 長期優良住宅の普及・啓発
    2. 既存住宅の耐震改修の推進
    3. 既存住宅の温熱環境改善(省エネリフォーム)の推進

(2)施工にかかわる活動

  1. 住宅の生産性向上と環境への配慮を両立する構工法を採用する。

    1. プレカット・パネル化・工業化等を図り、現場施工率の低減を図るとともに、廃棄物の発生抑制に努める。
    2. 工程管理のより一層の充実を図り、建設資材の配送効率の向上と搬出入回数の削減を図る。
  2. 住宅生産における建設廃棄物の再使用・再生利用の促進を図るとともに、リサイクル資材の使用を推進する。

  3. 現場等への搬出入車両のアイドリング・ストップの徹底を図る。

(3)住まい手との連携の強化

住宅の「使用(居住)段階」におけるCO2排出量は、住まい手のライフスタイルや住まい方によって大きく左右される。住宅生産団体連合会は、より快適で、かつ環境負荷の少ない住まい方や住宅の耐久性を向上させるためのメンテナンス等の情報を、イベントや刊行物により住まい手に示すことを推進する。それにより、次の事項に関する意識の普及・定着を図る。

  • 温暖化対策、省エネルギー、CO2排出量削減の必要性
  • 省エネ機器の選択等に関する情報の普及・啓発
  • 日々の生活のなかでの省エネに資する留意事項等

(住宅生産団体連合会)
【環境本部】

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