Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年4月9日 No.3219  「エネルギー問題に関する緊急アンケート結果」公表 -電力料金上昇が事業活動に与える影響や電力負担の抑制方策など

エネルギー政策は企業活動に多大な影響を及ぼす国家戦略の根幹である。とりわけ、東日本大震災後の電力料金の上昇は、デフレからの本格的脱却の足かせとなりかねない。そこで経団連は、今後の対応を考えるうえでの参考とするため、電力料金の上昇が当面の事業活動に与える影響や中長期の電力負担の抑制方策等についてアンケートを実施、2日に結果を公表した。

同アンケートは経団連の会長・副会長会社など169社を対象に、1月23日から2月2日まで実施、88社(製造業55社、非製造業33社)から回答を得た(回収率52.1%)。
アンケート結果の概要は次のとおり。

1.電力料金をめぐる現在の状況が続いた場合に当面の事業活動に生じる影響

製造業においては大きな影響があり、(1)生産を減少または大きく減少させる(製造業38.9%)(2)国内設備投資を減少または大きく減少させる(43.6%)(3)海外設備投資を増加または大きく増加させる(29.1%)(4)収益を減少または大きく減少させる(87.3%)(5)雇用を減少または大きく減少させる(25.5%)(6)省エネ対策に伴う負担を増加または大きく増加させる(85.5%)――との回答があった。

非製造業についても、(1)収益を減少または大きく減少させる(51.5%)、(2)雇用を減少または大きく減少させる(3.1%)(3)省エネ対策に伴う負担を増加または大きく増加させる(42.4%)――との回答があった。

2.電力料金の上昇による事業活動への悪影響を緩和するため政府に求められる当面の施策

製造業からは、(1)安全性の確認された原子力発電所の早期再稼働(41社)(2)再生可能エネルギーの導入抑制(固定価格買取制度の見直し)(18社)(3)省エネルギー設備・製品の導入支援(生産部門対象48社、業務部門対象31社)(4)安価な化石燃料の安定調達確保(42社)――との回答があった。

非製造業は、(1)安全性の確認された原子力発電所の早期再稼働(26社)(2)再生可能エネルギーの導入抑制(固定価格買取制度の見直し)(8社)(3)省エネルギー設備・製品の導入支援(生産部門対象16社、業務部門対象20社)(4)安価な化石燃料の安定調達確保(18社)――と回答した。

3.2030年時点で許容し得る電力料金の水準

製造業、非製造業ともに、震災前あるいは震災前より低い水準(78.2%、54.8%)が多かった(図表参照)。

図表 電力料金の負担可能水準(製造業)

4.電力料金が負担可能水準を超えた場合に、中長期の事業活動に生じる影響

製造業においては極めて大きな影響が生じ、(1)生産を減少または大きく減少させる(55.6%)(2)国内設備投資を減少または大きく減少させる(56.4%)(3)海外設備投資を増加または大きく増加させる(42.6%)(4)収益を減少または大きく減少させる(90.9%)(5)雇用を減少または大きく減少させる(47.3%)(6)省エネ対策に伴う負担を増加または大きく増加させる(87.3%)――と回答している。

非製造業からも、(1)収益を減少または大きく減少させる(64.5%)(2)雇用を減少させる(6.7%)(3)省エネ対策に伴う負担を増加または大きく増加させる(51.6%)――との回答があった。

5.電力料金抑制方策

2030年時点において許容し得る電力料金水準を達成するために必要な手段として、製造業からは、(1)安全性の確保を大前提とした原子力エネルギーの積極的活用(42社)(2)太陽光の導入抑制(16社)(3)環境問題に配慮しつつ石炭等の安価な化石燃料の有効活用(44社)――との回答があった。

非製造業からは、(1)安全性の確保を大前提とした原子力エネルギーの積極的活用(28社)(2)太陽光の導入抑制(6社)(3)環境問題に配慮しつつ石炭等の安価な化石燃料の有効活用(22社)――との回答があった。

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会員から寄せられたこれらの意見・要望については、今後の政府の検討に反映されるよう、経団連として精力的に取り組んでいく。

※詳細は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/030.pdf を参照

【環境本部】