Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年4月9日 No.3219  地球温暖化問題を技術で解決する~産業界の取り組み<14>

航空業界は、低炭素社会実行計画のもと、日々の航空機運航において、その最大の排出起源である航空燃料の使用量を抑制するべく、次に挙げるさまざまな取り組みを積極的に行っている。

1.削減目標の設定

低炭素社会実行計画フェーズⅠ・Ⅱではそれぞれ、2020年度のエネルギー消費原単位(有償トンキロメートル(注)当たりの燃料消費量)を2005年度比21%削減、2030年度のエネルギー消費原単位を2012年度比16%削減するとの目標を掲げ、その達成に向け、取り組んでいる。

2.削減目標達成に向けた取り組み

図表1 新型機と従来機のCO2排出量比較
  1. (1)環境性能の高い新型航空機の積極的導入
    新型航空機は複合材による機体の軽量化や、燃費効率に優れたエンジン、空力特性に優れた翼形等、先端技術を採用した新型航空機の導入により、従来航空機より大幅にCO2排出量を抑制できる。わが国の航空各社は、世界に先駆けてB787、B747-8Fを積極的に導入し、CO2排出量の削減に努めている(図表1参照)。

  2. (2)航空機運航上の工夫の積極的な実施
    航空機は重量が軽いほど消費燃料が抑制され、CO2排出量を低減することができる。このため、わが国の航空各社では、機体塗装ペイントや貨物コンテナの軽量化から、機内の食器材質、機内誌紙質の変更に至るまで、さまざまな機体重量軽量化施策を行っている。
    このほか操作手順についても、安全運航を確保したうえで、着陸時のフラップ角度設定、フラップや車輪を出すタイミング、着陸後の逆噴射抑制、一部エンジン停止等により、エンジン出力を抑制し、燃費効率を高める取り組みを行い、CO2排出量の削減に努めている。

3.主体間連携の推進

  1. (1)航法精度向上による運航方式の高度化
    飛行距離と飛行時間の短縮は、航空利用者の利便性を向上させるとともに、消費燃料の削減、CO2削減に大きな効果がある。このため、航法精度等の航空機システムの高度化、気象予測精度の向上等を背景に、航空業界は国内外の航空当局との主体間連携を通じ、より効率的な運航方式、最適な経路設定等の実現に向けた取り組みを行っている(図表2参照)。

  2. (2)お客さまとともに取り組む環境貢献活動
    いくつかの航空会社において、搭乗便で排出される1人当たりのCO2量を提示し、排出クレジット相当額をお客さまの任意参加により、クレジット決済・マイレージ寄付等で提供していただくカーボンオフセットプログラムが設定されており、地球温暖化防止のさまざまな取り組みの支援に役立てられている。

図表2 新しい運行方法による飛行距離・飛行時間の短縮

4.革新的技術開発としての代替航空燃料実用化に向けた検討

国際航空分野では全世界共通目標として、2020年以降の Carbon Neutral Growth を目指す“CNG2020”が掲げられている。この目標を実現するためには、前述の取り組みだけでなく、従来型の航空燃料と同様の化学組成であり、現行の航空機、エンジンなどでそのまま使用可能な新しい航空燃料の開発および普及が前提となることから、全世界でバイオジェット燃料等の代替航空燃料の導入に向けた動きが活発化している。

わが国においても、この流れに乗り遅れることなく、日常の航空機運航において、代替航空燃料を使用できるよう、官民一体となって検討を進めている。

(注)有償トンキロメートル=航空機の有償搭載物(旅客・貨物・郵便)重量に飛行距離を乗じたもの

(定期航空協会)
【環境本部】

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