Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年7月23日 No.3233  政府における規制改革の取り組みと課題を聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催した。内閣府規制改革推進室の刀禰俊哉次長から「規制改革の取り組みと今後の課題」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

1.規制改革会議の取り組み

規制は、その創設時の社会的要請に基づいてつくられるが、環境変化や技術革新を踏まえて不断に見直す必要がある。政府においては、1995年の行政改革委員会以降、本格的に規制改革を推進している。2013年からは現行の規制改革会議が、健康・医療、雇用、農業、投資促進等、地域活性化といった各分野の規制・制度の改革に取り組んでいる。6月16日には「規制改革に関する第3次答申」を取りまとめ、それを踏まえ30日に「規制改革実施計画」が閣議決定された。

同会議のこれまでの成果としては、一般用医薬品のインターネット販売解禁、新たな保険外併用の仕組みの創設、労働者派遣制度の見直し、農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の見直しなど数多くのものがある。

さらに今般の実施計画には、(1)医療機関と薬局の構造規制の緩和など医薬分業推進のもとでの規制の見直し(2)労働紛争解決システムのあり方の検討(3)性別による理容師と美容師の職務範囲規制の撤廃(4)インターネットを活用した民泊サービスの検討――など182項目が盛り込まれた。

2.今後の課題

規制改革の今後の主な課題としては2つ挙げられる。1つは地域活性化に結びつく改革。地方分権の流れのなかで、例えば食品衛生法など規制の細則を自治体の条例に委ねている法律があり、全国展開する企業にとって地域のルールの差が足かせとなる場合がある。地方自治体への助言となる政府のガイドライン改訂や、答申にも盛り込んだ「地方版規制改革会議」の設置などさまざまなかたちで取り組むことが可能だと考える。

もう1つはインターネットの進展によるビジネスの変化への対応。シェアリング・エコノミーに代表される新しいビジネスモデルが生まれていることから、現行の法律の枠組みそのものが適切かどうかも含めて議論を行う必要性が高まっている。

また、健康・医療、雇用、農業などいずれの分野も課題はある。雇用分野では働き方改革の一環として労働基準法の改正法案が国会に提出されているほか、農業分野では昨年6月の実施計画に記載した農協改革の法案が国会で審議中である。規制改革実施計画に盛り込まれたとしても、法案が成立し実施に至るまで骨抜きとならないことが重要であり、規制改革会議としてフォローアップに注力している。

【産業政策本部】