Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年9月17日 No.3239  「新たな気候変動枠組みの構築に向けた提言」公表 -年末のCOP21見据えた国際交渉や今後の国内対策のあり方を提示

今年のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)では、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みについて合意することが目指されている。また、COP21の後には、国内対策の検討も本格化するとみられている。

こうしたなか、経団連(榊原定征会長)は11日、「新たな気候変動枠組みの構築に向けた提言―京都からパリ、そして次世代の地球へ」を取りまとめた。

COP21では、すべての主要排出国の参加のもと、経済と両立する公平で実効ある国際枠組みについて合意することが強く求められる。一方、温室効果ガスの削減は、経済活動や国民生活に多大な影響を与えることから、各国ともに厳しい姿勢で交渉に臨む。わが国政府は、国益を十分踏まえつつ、各国の合意が得られるよう、国際交渉に貢献すべきである。

このような基本スタンスのもと、今後の交渉ならびにCOP後の国内対策のあり方について、次の3点を提言している。

■ 提言1=すべての主要排出国が参加する公平で実効ある国際枠組みの実現

何よりも重要なことは、すべての主要排出国の参加である。米国・中国を含むすべての主要排出国の参加を確保するため、各国が主体的に目標を設定する仕組みとするとともに、各国の最終的な「約束」の位置づけについては、柔軟性を確保し、法的義務を課さないことが重要となる。

そのうえで、地球規模での気候変動対策の取り組みの実効性や国際的公平性を確保するため、国連の場での国際レビューの実施が求められる。

あわせて、地球規模での温室効果ガスの削減を進める観点から、地球規模の低炭素技術等の普及を促す環境整備を進めるべきである。

■ 提言2=多層的な国際推進体制の構築

世界の大部分の国が参加するという意味で、国連の枠組みは極めて重要であるが、意思決定の機動性に欠けるなど、多くの課題も存在する。

そこで政府は、来年5月に伊勢志摩で開催するG7サミットや、世界の産学官のリーダーが集まり、地球温暖化問題の解決に資するイノベーションについて議論するICEF(アイセフ)など、国連以外のさまざまな場を活用していくことが重要である。

■ 提言3=今後の国内対策のあり方

第1に、COP21の後に検討が本格化する国内対策のなかで、「経団連低炭素社会実行計画」を柱に位置づけ、政府はこれを後押しすべきである。

第2に、排出量取引制度など、活力ある経済社会の実現を阻害する規制的手法は導入すべきではなく、すでに導入されている施策については、廃止も含めた抜本的な見直しを行うべきである。また、周辺住民とのコミュニケーションを図る手続法である環境アセスメント法を、地球規模の課題であるCO2排出対策に用いるべきではない。

第3に、実効ある対策の推進を担保する観点から、「部門・対策毎のPDCAサイクルの実施」が重要である。とりわけ家庭部門については、責任主体を明確にしたうえで、総理を中心とした推進体制を整備すべきである。

経団連としても、引き続き「低炭素社会実行計画」を着実に推進することにより、地球規模・長期の気候変動対策に最大限取り組んでいく。

※提言全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/077.html 参照

【環境本部】