Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月10日 No.3250  海洋分野のイノベーション創出に向けた説明会を開催 -海洋研究開発機構におけるイノベーションの取り組み聞く

経団連は11月27日、東京・大手町の経団連会館で「海洋分野のイノベーション創出に向けた説明会」を開催した。長澤仁志海洋開発推進委員会総合部会長が司会を務め、海洋研究開発機構の平朝彦理事長や東垣研究審議役から、同機構におけるイノベーションの取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 平理事長説明

講演する平理事長

今年4月、海洋研究開発機構は独立行政法人から国立研究開発法人になった。研究成果の最大化を目標に、イノベーションへの貢献が求められているなか、7月に「海洋科学技術イノベーション推進本部」を設置し、私が本部長に就任した。

第3期中期計画(2014~19年度)の研究開発課題は、(1)海底地震・津波(2)海底資源(3)地球観測(4)海洋地球生命工学(5)海洋掘削科学(6)数理科学・情報工学と(7)これらの達成に必要な海洋フロンティア技術・開発――である。

研究設備としては、地球深部探査船「ちきゅう」をはじめ8隻の船舶を所有している。海洋調査船「なつしま」と「かいよう」は今年退役するが、現在、海底広域研究船「かいめい」を建造し、海上での性能確認試験を行っている。

■ 東研究審議役説明

海洋研究開発機構としては、大型の研究設備を活用した技術開発によって基盤的研究を底上げしていきたい。

今年6月に政府が閣議決定した「科学技術イノベーション総合戦略2015」では、国立研究開発法人にイノベーションを進める仕組みの展開を期待すると記述された。来年3月に策定される「第5期科学技術基本計画」には、海洋に関する科学技術の強化に関する項目を入れる方向で議論が進められている。

当機構は、世界トップの大型研究設備や、360名の研究者と250名のエンジニアを有する総合研究機関である。海洋科学技術イノベーション推進本部においては、大学や産業界をパートナーとした「オープン・イノベーション」を推進していく。このため、次世代を担う人材の確保と育成が最重要課題である。

イノベーション創出の拠点としてイノベーション・ハブを構築し、炭素・エネルギー循環型システムに関する研究、海底資源開発に向けた研究開発、気候変動の予測研究に取り組んでいく。

【産業技術本部】