Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月17日 No.3251  TPPのポイント等について経産省から聞く -通商政策委員会企画部会

経団連は11月26日、東京・大手町の経団連会館で通商政策委員会企画部会(神戸司郎部会長)を開催した。経済産業省の金子知裕経済連携課長から、10月5日に大筋合意に至ったTPP(環太平洋パートナーシップ協定)のポイント等について聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 協定のポイント

わが国の全品目の関税撤廃率は95%と、日豪EPAの89%を上回る自由化となり、11カ国全体の工業品では99.9%の自由化を達成した。域内で統一の原産地規則を採用するなど、特恵税率の適用に際する事業者の負担軽減を図った。サービス貿易・投資については原則全分野を対象に、外資規制の撤廃等の自由化を実現した。営業秘密の不正取得、商標を侵害するラベル等の使用を刑事罰化するなど、知的財産権の保護も強化した。政府調達では、WTO政府調達協定に未加入のマレーシア、ベトナム、ブルネイを含め、公開入札や内外無差別調達が約束されたので、日本企業にとって事業機会の拡大が期待される。

■ わが国の対応

11月25日、政府は「総合的なTPP関連政策大綱」を決定した。TPPを経済再生・地方創生につなげつつ、国民不安を払拭する政策として、(1)協定活用促進のための情報提供・相談体制の整備とグローバルバリューチェーンの構築支援(2)強い経済実現に向けたイノベーション、生産性向上と食の安全確保(3)攻めの農林水産業への転換のための体質強化策――等を盛り込んだ。

■ 今後の見通し

協定は2年以内にすべての原署名国が批准しない場合、GDPの合計85%以上かつ6カ国以上の批准で発効に至る。先般のマニラでのTPP首脳会合では、早期署名と国内手続き完了に向けて取り組むことで一致した。署名が完了次第、わが国も早期の国会承認を目指す。

発効のカギとなる米国では、11月5日に署名意図の議会通知がなされたが、米国内手続きのもとで最速の来年2月上旬に署名が可能かは予断を許さない。TPPに関心を示している国は数多く、わが国としてもこれを歓迎したい。

【国際経済本部】