Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年1月21日 No.3254  アフリカ経済の現状とTICAD Ⅵの課題聞く -サブサハラ地域委員会

経団連は12月25日、東京・大手町の経団連会館でサブサハラ地域委員会(野路國夫委員長、加瀬豊委員長)を開催し、日本貿易振興機構(JETRO)の平野克己理事から、アフリカ経済の現状と第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)の課題について説明を受けた。
説明の概要は次のとおり。

■ アフリカ経済の現状

近年、開発途上国間の貿易関係が強まっており、アフリカについても、欧米に代わり、中国をはじめ東アジアとの結びつきが強まりつつある。

新興国が軒並みマイナス成長にあるなか、アフリカはプラス成長を維持している。その背景として、人口増加に伴う旺盛な消費需要がある。一方、外需は低迷しており、今後の爆発的な成長は期待できない。

アフリカでは資源ブームが終焉し、資源メジャーが撤退する事例が散見される。2016年半ばごろには通貨下落により、名目GDPがマイナスになるおそれもある。

現在のアフリカにとって最も重要な課題は農業である。農業生産性の向上がみられないなか、都市化の進展により、食料の輸入が増加し、食料の約20%は輸入に依存している。農業生産のコスト高は、食料品、物価の上昇を招いており、さらに平均賃金の上昇へとつながり、アフリカ経済の発展を阻害している。

各国の対アフリカ輸出の状況をみると、中国の独壇場であり、日本については、一部輸送機械は健闘しているものの、全体としては低迷している。

中国は、「一帯一路」戦略等のもと、資源確保から、インフラ建設、そして製造業移転へと対アフリカ戦略の軸足を移しつつある。アフリカでの中国に対する評価も高い。

■ 南アフリカ経済の現状

アフリカ経済で最大のプレゼンスを示しているのは南アフリカである。南アフリカは、中国や中東産油国に対する貿易赤字を上回るアフリカ域内向け貿易黒字によって巨額の貿易黒字となっている。数多くのグローバル企業の存在、アフリカ市場への関与、消費増大などが南ア経済の力の源泉となっている。しかし、日本と南アフリカの貿易関係は低位にとどまっており、貿易の主軸であった自動車関連貿易も近年、低迷している。

■ TICAD Ⅵに向けた課題

現在、アフリカは低成長期にあるが、こうした不況下でこそ国力や企業の競争力が試されており、シェア拡大のチャンスともいえる。日本企業としては、トルコや韓国等の第三国のパートナーと連携して、対アフリカの輸出拡大やビジネス開拓につなげていく必要がある。JETROとしても、その橋渡しをしていきたい。

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なお、同日はTICAD Ⅵに向けた提言案を審議し承認した。

【国際協力本部】