Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年2月4日 No.3256  宇宙基本計画工程表の改訂について説明を聞く -宇宙開発利用推進委員会

経団連は1月20日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)を開催した。内閣府の小宮義則宇宙審議官・宇宙戦略室長から、宇宙基本計画の工程表の改訂について説明を聞くとともに意見交換を行った。

同計画の工程表改訂にあたっては、昨年、下村委員長が政府の宇宙産業・科学技術基盤部会や宇宙法制小委員会、宇宙システム海外展開タスクフォースに参加し、産業界の意見反映に向けて働きかけを行ってきた。説明の概要は次のとおり。

■ 工程表の改訂

昨年12月8日、宇宙開発戦略本部は、宇宙基本計画(2015年1月決定)の工程表の改訂を決定した。工程表は53項目あり、(1)宇宙安全保障の確保(2)民生分野における宇宙利用推進(3)産業・科学技術基盤の維持・強化――の3つの観点から、16年度以降の取り組みについて施策内容の充実・具体化等を図るものである。

■ プロジェクトの実施方針

測位分野では、準天頂衛星を用いて、20年度から航空用の衛星航法システムによる測位補強サービスを開始するための検討を行う。

現在、情報収集衛星は4機体制だが、合計10機の整備計画を検討すると明記した。

宇宙輸送システムについては、新型基幹ロケットの名称が「H3」に決まった。その詳細設計に着手し、20年度の試験機初号機の打ち上げを目指す。

スペースデブリ(宇宙ゴミ)を監視する宇宙状況把握に向けて16年度に必要な体制整備を行うこと、安全な航行のための海洋状況把握については16年度前半をめどに衛星情報の試験的利活用を開始する。

国際宇宙ステーションについては、米国政府と合意して必要な取り組みを進める。なお、工程表の改訂直後の昨年12月22日に、国際宇宙ステーションの24年までの運用延長に日本が参加することで日米両国政府が合意した。

■ 産業基盤・科学技術基盤の強化策

新事業・新サービスを創出するため、スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)を創設する。また、16年度前半に、宇宙機器・利用産業の将来動向や政府の関与のあり方に関する「宇宙産業ビジョン」(仮称)の中間取りまとめを行う。

■ 体制・制度の強化策

許可監督の仕組みや第三者損害賠償責任制度の創設を含む「宇宙活動法案」と、衛星画像の利用を促進するための「衛星リモートセンシング関連法案」を今年の通常国会に提出し、両法律の成立から1年以内の施行を目指す。

■ 宇宙外交の推進

昨年8月に立ち上げた官民による宇宙システム輸出のための「宇宙システム海外展開タスクフォース」において、商業宇宙市場の開拓に取り組む。

【産業技術本部】