Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年4月7日 No.3265  第35回日本・香港経済合同委員会を開催 -日・香港協力の可能性を探る

永易日本・香港経済委員長

ジョナサン・チョイ
香港・日本経済委員長

経団連(榊原定征会長)の日本・香港経済委員会(永易克典委員長)は3月23日、都内で第35回日本・香港経済合同委員会を開催した。日本側からは永易委員長はじめ17名が、香港側からは香港・日本経済委員会のジョナサン・チョイ委員長はじめ13名が参加した。当日の議論の概要は次のとおり。

■ 香港経済の見通し

まず香港側が、3月の中国・全国人民代表大会(全人代)で採択された「第13次5カ年計画」では、GDPに占めるサービス業の比率を引き上げることを掲げており、GDPの9割以上をサービス業が占める香港は、より重要な役割を担うと説明。特に、香港産業の柱の1つである金融で、イノベーションを生み出していくとの決意を表明した。

「一帯一路」のねらいは、65カ国・45億人を結びつけ、貿易・インフラの促進にとどまらず、経済政策の協調、人と人との絆の強化などを図ることであるとし、成功に向けて、技術・ものづくり先進国である日本の協力を求めた。

日本側からは、世界有数の国際金融センターおよび物流センターであり、中国本土のゲートウエーの香港は、引き続き欠かせないパートナーであるとの認識が示された。

■ 日・香港協力

続いて、今後、日・香港協力の大きな拡大が望める分野として「観光」と「物流」を取り上げ、議論を行った。

観光については、日本側から、最近の訪日観光客増加の動きを説明。そのうえで、香港からの観光客の訪問先は東京、大阪、京都などいわゆるゴールデンルートが主流となっていることを説明した。これに対し、香港側からは、日本には「まだあまり知られていないが、魅力的な都市」が多く存在するとして、見本市への出展等を通じ魅力を知らしめることが重要との意見が出された。

物流については、日本側から、日本と香港の輸送インフラを最大限に活用した日本のおいしい農産物の香港への輸出の取り組みなどを説明した。

また、東日本大震災から5年が経過したことを踏まえ、畠利行福島県副知事が、福島県における観光と食品輸出を中心とした復興に向けた取り組みを紹介した。

会議終了後の昼食会では、「香港と日本の関係発展の現状と今後の動向」と題し、松田邦紀・在香港日本国総領事館大使兼総領事が講演。香港が過去11年間、日本の農産物の最大輸出先であることなどを挙げ、日本と香港の結びつきの強さを強調した。

【国際協力本部】