1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2016年5月19日 No.3270
  5. 提言『日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に関する要望』を発表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年5月19日 No.3270 提言『日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に関する要望』を発表

経団連は17日、提言「日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に関する要望」を発表するとともに、関係各方面に建議した。

今年2月4日にTPP(環太平洋パートナーシップ)が署名された。経団連では、世界経済の成長エンジンであるアジア太平洋地域全体をカバーする自由貿易圏、いわゆるFTAAPの構築を支持しており、昨年1月の「経団連ビジョン」においてもTPP交渉をてこに、日中韓FTAならびにASEAN+6によるRCEP交渉を推進することで、FTAAPへの道筋をつけるよう求めている。

日中韓FTAは、東アジアのGDPの約7割を占める三国間の貿易投資を活性化し、地域経済を牽引する役割を担う。昨年11月の日中韓首脳会議でも、「日中韓FTAの顕著な進展に向けて協働する」ことに三国首脳が合意しており、安易な妥協はせず、包括的で質の高い日中韓FTAを実現することが求められている。

また、日中韓に加え、昨年末に経済共同体を発足させたASEAN、成長著しいインド、TPP加盟国である豪州、ニュージーランドが参加するRCEPを実現することも、FTAAP構築の道筋における重要な要素であり、RCEPをTPPに匹敵する内容とすることが重要である。

こうした観点から、提言は日中韓FTA、RCEP両交渉に対する経済界の考え方を示した。ポイントは次のとおり。

1.物品貿易

鉄鋼、自動車、自動車部品、電気・電子機器等、広汎な分野での関税撤廃を提言。例えば、日本製の部品を活用して韓国で最終製品を組み立て、中国に輸出する場合、日中韓FTAによる日本製の部品の関税撤廃はサプライチェーン全体におけるコスト削減と国際競争力強化に直結する。提言では、少なくとも「10年以内自由化率90%」という高いレベルの自由化を求めている。

2.原産地規則

サプライチェーンの連結性確保の観点から、一国で原産性を満たさない場合でも、FTA域内での付加価値や加工工程をすべて合算し、基準を満たせば原産性を認める「完全累積」の導入を提言している。

3.投資、サービス貿易

対外直接投資の促進は、投資国側の企業にとって事業機会の拡大につながるのみならず、投資受け入れ国にとっても、国内雇用の創出や技術、ビジネスモデル導入に直結する。提言では主要なサービスならびに製造業における外資制限の撤廃を求めるとともに、ローカルコンテンツ要求等の廃止、さらには、企業の正当な利潤を確保する観点から、ロイヤリティー等にかかる送金や料率の規制の緩和を要望している。また、TPP同様、投資家対国家紛争処理制度(ISDS)を導入し、投資契約上の紛争を含め、幅広く対象とするよう提言している。

4.電子商取引

グローバルに事業を展開するわが国経済界にとって、自由な越境データ流通はイノベーション創出の前提である。提言ではTPPにならい、電子送信・コンテンツに対する関税不賦課、サーバー設置要求の禁止、ソフトウエアのソースコードへのアクセス要求の禁止等について、規定を設けるべきであるとしている。

わが国最大の貿易相手国であり、世界第2位の経済大国である中国を地域経済統合に包摂するうえで、日中韓FTAとRCEPは不可欠である。他方、韓国、インドネシア、タイなど、日中韓FTA、RCEPの当事国は、TPPにも関心を示している。そこで提言は、最後に質の高い日中韓FTAならびにRCEPの実現とともに、早期にTPP拡大交渉を開始し、アジアの関心国のTPPへの参加を促すことを求めている。

※提言の全文は経団連のウェブサイトに掲載

【国際協力本部】

「2016年5月19日 No.3270」一覧はこちら