Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月16日 No.3274  コロンビア・セミナーを開催 -日本コロンビアEPAの早期締結に向け両国経済界の協力確認

ロベルト・ベレスFNC総裁(左)と小島委員長

経団連の日本コロンビア経済委員会(小島順彦委員長)は1日、東京・大手町の経団連会館でコロンビア・セミナーを開催した。来賓として畑中龍太郎駐コロンビア日本国大使、ロベルト・ベレス・コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)総裁、戸田拓夫キャステム社長を招き、コロンビアの経済情勢の現状と展望をはじめ、日本企業のビジネスチャンスや同国のポテンシャル等をテーマに講演が行われた。

開会あいさつで小島委員長は、豊富なエネルギー資源(石炭は南米1位、石油は南米4位の生産量)や南米で唯一太平洋と大西洋に面する地理的優位性、豊富で有能な人的資源等が同国の強みであると述べた。さらに、これまで13回にわたり交渉が重ねられている日本コロンビアEPAの早期締結が両国間の経済関係の強化・発展には不可欠であると指摘。経済界も早期締結に向けて尽力していきたいと決意を表明した。

畑中大使は、拡大する中間所得層や若い人口構成、豊富な資源および旺盛なインフラ需要が同国へ進出するメリットであると述べた。そのうえで、同国政府はインフラの改善、税関手続きの簡素化、人材育成の強化、治安対策等、ビジネス環境の整備に向けて積極的に取り組んでいることを紹介した。さらに、日本コロンビアEPA交渉が大詰めであるとともに、同国はAPEC(アジア太平洋経済協力)への加盟やTPP(環太平洋パートナーシップ)への参加等アジア・太平洋地域への進出に大変前向きであり、官民連携により、日本とコロンビアの経済関係を拡大するまたとない好機であると指摘した。

ベレス総裁は、麻薬やテロといった同国のイメージは過去のものであり、治安の改善が図られていると述べた。また最終局面を迎えた左翼ゲリラ(FARC)との和平交渉の実現は、コロンビア経済を押し上げるとともに新たな投資機会を創出すると発言した。さらに、FTAの締結によって多くの国、市場、消費者にアクセスできることが同国の魅力の1つであると述べたほか、日本コロンビアEPAの実現により、アジア最大の対コロンビア投資国である日本企業のさらなる進出に期待を示した。

今年5月に精密鋳造部品の工場を同国に竣工した戸田社長は、真面目で高い向上心を持つ同国の国民性に触れたうえで、優秀な人材の豊富さ、治安の改善、低廉な人件費、柔軟な労働政策・雇用制度等が進出の決め手となったと述べた。加えて、コロンビア政府が主導する国立職業訓練校(SENA)は、修練を積んだエンジニアを数多く輩出しており、高いレベルでのものづくりが可能であると自社の経験を交えて紹介した。

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日本コロンビア経済委員会は引き続き、さまざまな機会を通じて両国経済関係の強化に努めるとともに、日本コロンビアEPAの早期締結を求めていく。

【国際協力本部】