Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月16日 No.3274  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は13日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

榊原会長は、英国のEU離脱(Brexit)について、日本経済、世界経済に大きな影響を与えかねない重要な問題であると指摘。英国には日本から1000社超の企業が進出し、事業を展開して年間1兆円を超える大規模な投資を行っており、これは、EUの一員としての英国への投資であると述べた。その前提は、生産活動は英国で行っているが、販売はEU加盟国向けのため、関税が撤廃され、税関手続きが簡素化されていることであると説明。仮に英国がEUを離脱することになり、この前提が崩れると大きな影響があるとの認識を示した。

ただ、仮に国民投票の結果、離脱派が上回ったとしても、英国政府は時間をかけて、EUとの協議を進めることになるだろうし、その結果がどのようなかたちになるかもわからないとした。そうしたなか、最近の円高株安の高進について、離脱が世界経済全体に及ぼす影響への懸念が先行しすぎており、市場は過剰に反応している感があるとして、冷静な対応を求めたいと述べた。

16日に開催される日銀の金融政策決定会合については、金融政策、財政政策、構造改革を総動員して、タイミングよく推進していくことが重要との考えを示した。そのうえで、さらなる金融緩和は、日銀がよく議論して判断すべきであり、今は経済界から要請するタイミングではないと言及。マイナス金利導入からそれほど時間が経過しておらず、その影響を見極める時期であるとの認識を示した。

6月1日から経団連の指針に基づく採用選考活動が開始されたことについて、同指針は政府の要請を踏まえたものであり、その目的は、学生の学習機会を確保するとともに、就職活動の長期化を防ぐことであるとして、経団連の会員企業のほとんどが指針に則った活動を行っているとの認識を示した。

これに関連し、政府からも経団連会員を含め幅広く企業、業界団体に本指針を遵守するよう要請されており、経団連の指針ではあるものの、会員企業以外の企業にも指針を踏まえた対応を求めた。

7月の参議院選挙について、安倍政権が発足して3年半が経過し、内政、外交の両面で大きな成果を挙げており、アベノミクスの推進により多くの経済指標が改善したことを評価。現在、景気の回復は足踏み状態にあるが、2020年のGDP600兆円経済の実現を目指して、アベノミクス第2ステージを強力に進めていく重要性に言及。これまでどおり政策を継続して実行していくためには、安定的な政治基盤の確保が必要であるとして、現政権の安定した政治基盤が継続して確保されることに期待を示した。

移民政策については、これまで日本では移民政策についてほとんど議論されてこなかったことを指摘。移民政策をタブーとするのではなく、将来的な課題として検討していく必要があるとの認識を示した。移民についてまったく何も考えずに中長期的にも問題がないのかといったことも含めて、慎重に考えていきたいとした。経団連では、日本の実状、国情、社会状況にあった移民政策のあり方について、時間をかけて検討していくと述べた。

【広報本部】