Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月23日 No.3275  関西会員懇談会を大阪で開催 -「GDP600兆円経済の実現に向けて」テーマに

経団連(榊原定征会長)は9日、大阪市内で「関西会員懇談会」を開催した。榊原会長をはじめ審議員会議長、副会長らが出席し、関西地区からは会員約400名が参加。「GDP600兆円経済の実現に向けて」を基本テーマに懇談した。

開会あいさつで榊原会長は、この3年半のアベノミクスの経済政策により日本経済は緩やかながら回復基調にあり、デフレ脱却までもう一息との認識を示し、政府にはGDP600兆円経済の実現と2020年度の財政健全化目標達成の双方を目指してほしいとした。

そのうえで、この1年間の活動成果である、春季労使交渉における3年連続の賃金引き上げ、法人実効税率の20%台への引き下げなどを紹介。今年度の優先課題に、(1)デフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済実現への確固たる道筋をつけること(2)経済外交の推進(3)財政健全化に向けた働きかけ(4)女性の活躍推進――を掲げ、これら課題への取り組みを確実に進めるため、政治との相互の連携・信頼関係をさらに強化するとの決意を述べた。

続いて、2日の経団連定時総会で選任された岡本毅副会長、小林健副会長、石塚邦雄副会長、國部毅副会長の4氏が新任あいさつとして抱負を述べた。

◆ 関西経済の活性化に向けて

その後行われた懇談では、「関西経済の活性化」について、奥村太加典奥村組社長が、高いポテンシャルを持つ産業資産や豊富な観光資源を有する第2の経済圏として、交通のハブ機能強化や宿泊施設の充実など受け入れ環境整備が必要と指摘。鴻池忠彦鴻池運輸社長から、参入規制の緩和により、運賃相場が下落した結果、トラック運転手の労働条件が悪化、人手不足が深刻化しており、安全やサービス向上のためには、適正な価格設定が必要との問題提起があった。

これに対して、(1)コンパクト化とネットワーク化を軸に、分散化した都市機能や公共施設の集約・連携に合わせ、さまざまな拠点を効率的かつ効果的に結びつける社会インフラ整備が必要(岩沙弘道審議員会議長)(2)荷主と物流業界協働による生産性向上や宅配再配率の減少努力などに加え、過疎化対策としてコンパクトシティ推進など、行政との連携を通じた物流の効率化を図るべき(工藤泰三副会長)(3)関西観光圏の活性化に向けた宿泊施設などの受け入れインフラの整備には地域の観光戦略に合った効果的な投資や、新しい民泊ルール設定への特区民泊での知見の反映が重要(古賀信行副会長)(4)圧倒的に低い関西と東京の出生率を高めるには、男性の育児休暇取得やワーク・ライフ・バランスの促進が重要。関西の活性化に向け「関西」ブランドを一丸となって築き上げていくべき(岡本圀衞副会長)――と応じた。

◆ Society 5.0 の実現

また、「Society 5.0 の実現」について、中本晃島津製作所会長から、がんなどの早期診断を行う先進的な分析機器の開発を進めるには、大学・医療機関とのオープンイノベーションや、欧米に合わせて分析機器が医療関連機器として登録されるよう法制面での対応が必要との指摘があった。また、家次恒シスメックス会長兼社長が、医療の個別化が進展するなか、薬が効く人を見わける検査の重要性が高まっており、オープンイノベーションがその開発のカギとなると述べた。また、菅谷節ダイダン会長から、顧客に必要な設備環境を創造、提供することでオープンイノベーションの推進とよりよい地球環境実現に貢献しているとの発言があった。

これに対して、(1)オープンイノベーションなど、さまざまな分野を融合させて社会課題を解決する Society 5.0 の実現に向け、関西地区の会員と一緒に取り組みたい(中西宏明副会長)(2)省エネ・低炭素技術、製品開発をわが国がリードし、世界に展開することで、地球規模での気候変動対策に貢献できる(内山田竹志副会長)――と応じた。

最後に榊原会長は、関西地区会員とこれまで以上にしっかりと連携し、GDP600兆円経済の実現に確固たる道筋をつけたいと締め括った。

【関西事務所】