Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月8日 No.3284  ベトナムミッションを派遣 -ハノイ、ホーチミン、バリアブンタウ省を訪問

クアン国家主席と懇談

ベトナムで7月に新政権が正式発足したことを受け、経団連は8月22日から24日にかけ、日本ベトナム経済委員会の高橋恭平委員長、中村邦晴委員長を団長に約70名で構成されるミッションをハノイ、ホーチミンおよびバリアブンタウ省に派遣した。

ミッションでは、新政権首脳に対し、インフラ整備、裾野産業の振興等を進めるためのビジネス環境整備に関する具体的な改善やTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の早期発効、質の高いRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の早期実現を働きかけた。また、両国が協力してベトナムのビジネス環境改善を図るための枠組みとして、2003年から継続して開催している「日越共同イニシアティブ」の第6フェーズを正式に開始するためのキックオフ会合にも出席した。

■ ハノイ

ハノイでは、クアン国家主席、フック首相、ズン計画投資大臣、ヴォン商工副大臣のほか、ベトナム商工会議所(VCCI)のロック会頭といった官民要人に加え、ベトナム日本商工会(JBAV)などの日本関係者との懇談を行った。

一連の会合を通じ、ベトナム側は、ベトナム経済の発展や人材育成ならびに両国企業の関係強化等に経団連が果たした役割に対して謝意を述べるとともに、日越共同イニシアティブや経団連と計画投資省が開催している政策対話を通じた一層のビジネス環境の改善に期待を表明した。また、ベトナムにとって日本が最も重要な戦略的パートナーであるとして、日本企業の活動に対する一層の支援を約束するとともに、さらなる投資と経済交流の深化への期待を表明した。あわせて、日越両国が加盟するTPP協定の早期発効やRCEPの推進の重要性について理解を示した。

日越共同イニシアティブ第6フェーズキックオフ会合

また、日越共同イニシアティブの第6フェーズのキックオフ会合には、共同議長を務める高橋委員長、中村委員長、深田博史駐ベトナム日本大使、ズン計画投資大臣はじめ両国合わせて約150名が参加した。会合では5つのワーキングチーム((1)労働(2)賃金(3)運輸・ロジスティクス(4)サービス業(5)中小企業支援)の設置が確認され、さらに2つ((6)投資法・企業法(7)医薬品流通業)の追加について継続審議とされた。そのうえで、今後、両国官民が全面的に協力して1年半に及ぶ議論を進める旨を記した覚書を締結した。

■ ホーチミン、バリアブンタウ省

ホーチミンでは、リム・ホーチミン市人民委員会副委員長との懇談のほか、ホーチミン日本商工会(JBAH)との懇談を行った。リム副委員長は、日本のODAを活用し、日本企業が建設を行うホーチミン地下鉄1号線を高く評価するとともに、電気や交通等のインフラ整備やIT、ハイテク、農業等での日本からの一層の投資拡大に期待を表明した。

また、国際協力機構(JICA)が経済発展戦略策定の支援を行うバリアブンタウ省では、リン同省党書記との懇談のほか、工業団地の視察を行い、現地の事業環境等について情報を収集した。リン書記は重化学工業、環境、物流、観光等の分野における同省への進出を期待すると述べた。

今回のミッションは、日越両国の経済関係の拡大と深化に向けて大きな一歩となった。経団連は引き続き、ベトナムとの関係強化に取り組んでいく。

【国際協力本部】