1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2016年9月15日 No.3285
  5. 21世紀政策研究所連続セミナー「エネルギーミックス実現に向けた展望と課題」の第1回開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月15日 No.3285 21世紀政策研究所連続セミナー「エネルギーミックス実現に向けた展望と課題」の第1回開催

21世紀政策研究所(三浦惺所長)は、「エネルギーミックス実現に向けた展望と課題」をテーマに連続セミナーを開始した。同セミナーは、わが国の温室効果ガス削減目標(2030年度26%削減)の積み上げに用いられている2030年のエネルギーミックス(昨年7月に決定)で掲げられた「省エネルギー」「再生可能エネルギー」「火力発電」「原子力」を取り上げ、テーマごとに課題を整理し、わかりやすく解説することを目的としている。

8月4日には、その第1回セミナー「再生可能エネルギー導入拡大に向けた展望と課題」を開催。竹内純子研究副主幹がモデレータを務め、有馬純研究主幹(東京大学教授)、山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長、朝野賢司・電力中央研究所社会経済研究所主任研究員、岩船由美子・東京大学生産技術研究所特任教授が参加した。

冒頭、同セミナーの入門編として、竹内研究副主幹から、省エネルギー・再生可能エネルギー・火力発電・原子力発電に関する論点・課題が説明された。

■ 「エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの展望と課題―FIT法改正と改正後も残る課題」

次に山地氏から、国民負担の抑制のためコスト効率的な再エネの導入を促進する等のFIT法の改正がされたこと等の説明があった。また出力変動への対応として、分散電源・デマンドレスポンス・蓄エネルギー設備等の需要側の資源を調達していくことが大事であること、技術革新へのインセンティブ確保等が、FIT法改正後も残る課題として指摘された。

■ 「エネルギーミックスを前提とした供給力確保のあり方」

続いて朝野氏から、競争環境下で年間販売電力収入のみで発電費用を回収できる発電設備の容量は、エネルギーミックスを前提とすると30年時点で安定供給を維持するために必要な供給量に対し約2割が不足すること、また安定供給を維持するには、発電設備へ投資(リプレースや新設)が行われる容量メカニズム制度を早急に導入し、発電設備の投資回収の確実性を高めることが重要であるとの説明があった。

■ 「再エネ導入拡大に関する政策的・技術的課題」

最後に岩船氏から、主に技術的課題について説明があった。
岩船氏は、周波数を維持するために火力発電を一定に保つ必要があるにもかかわらず、再生可能エネルギー導入拡大による需給バランスのなかでは火力発電を保つのが難しくなること、日中、太陽光出力により見かけの電力需要が減少していたものが、夕方、太陽光出力減により急激な需要増が生じるため、それに対して火力発電の再起動等で追従しなければならないことを指摘。そのうえで、それらの課題解決のためには、系統の柔軟性を向上させるとともに、供給側と需要側の資源を最大限生かした効率的な電力システムの整備・運用を目指すべきであり、そのためには、情報の公開・共有を含めたソフト面での検討・研究が重要との見解が示された。

■ パネルディスカッション

続くパネルディスカッションでは、有馬研究主幹から、再生可能エネルギーのコスト負担の抑制を図る施策が各種講じられているイギリスについて例として紹介された。

【21世紀政策研究所】

「2016年9月15日 No.3285」一覧はこちら