Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年10月20日 No.3289  提言「医療・介護制度改革に関する経団連の考え方」公表 -具体的改革項目について意見表明

経団連は18日、提言「医療・介護制度改革に関する経団連の考え方」を公表した。同提言は、政府の「経済・財政再生計画」に基づく医療・介護制度に関する改革議論が、厚生労働省の社会保障審議会を中心に行われていることを踏まえたものである。

■ 現状認識と改革の必要性

高齢化が進むなか、社会保障給付費の増加を賄うため、現役世代や企業などが負担する社会保険料が年々増加している。活力ある経済・社会を次世代に引き継ぐとともに、国民生活の安全・安心の基盤である社会保障制度の持続可能性を確保するためには、早急かつ大胆な制度改革が求められる。

特に医療・介護制度については、給付費の増加を抑制する適正化・効率化の取り組みが十分に進んでいない。実効性ある改革に踏み込むべきである。

■ 制度改革に向けた基本的な視点と具体的な改革項目

今次制度改革にあたっては、次の3つの視点を踏まえる必要がある。

第1は、徹底した給付の適正化・効率化および利用者負担の適正化を確実に措置することである。第2は、世代間の不公平感を回避するため、低所得者などに十分配慮し、高齢者の負担水準を可能な限り現役世代に近づけていくことである。第3は、医療機関や介護施設の機能分化・連携の促進や「見える化」などを通じ、全体的に効率的で公平なサービスの提供体制を構築していくことである。

これらの基本的視点を踏まえ、具体的な制度改革項目に関する考え方をまとめている(図表参照)。

■ 介護納付金の総報酬割導入に関する考え方

介護納付金の総報酬割については導入すべきではない。総報酬割の導入は協会けんぽに対する国庫補助削減のための負担の付け替え策にすぎず、制度の持続可能性に寄与するものではない。さらに、健保組合全体で高齢者医療への拠出金が保険料収入の4割を超えるなかでの総報酬割導入は、健保組合の加入者や企業にとって極めて重い負担となる。

まずは、図表で示した給付や負担の適正化・効率化などの制度改革に最優先で取り組むべきである。

具体的な制度改革項目

【経済政策本部】