Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年12月8日 No.3296  第6回日本ウクライナ経済合同会議を東京で開催 -クービウ第一副首相らとビジネス関係強化めぐり意見交換

クービウ第一副首相(左)と朝田部会長

経団連のウクライナ部会(朝田照男部会長)は、ウクライナからステパン・クービウ第一副首相兼経済発展・貿易大臣率いる通商ミッションが来日した機会をとらえ、11月22日、東京・大手町の経団連会館で第6回日本ウクライナ経済合同会議を開催した。

3年ぶりの開催となる今回の合同会議には、ウクライナ側から約25名、日本側から約60名が参加し、ウクライナのビジネス環境や農業、インフラ、イノベーション等の個別分野における協力の可能性などについて熱心な意見交換を行った。

■ 二国間経済関係の拡大に向けた基盤

まず、ビジネス環境をめぐっては、2015年11月の日・ウクライナ投資協定発効後の状況や外国投資インセンティブなど、貿易・投資関係の一層の拡大に向けた制度基盤やウクライナのビジネス環境の現状と課題(税制、外貨規制等)、国内改革の状況などに関して意見交換が行われた。

■ ポテンシャルの大きな農業・インフラ分野

続いて、穀物をはじめとする農業分野では、二国間協力の可能性や輸送面での課題などについて双方が認識を共有した。

引き続き、日・ウクライナ双方の関心が高いインフラ分野に関して、ウクライナ側からは、広大な国土を活かした再生可能エネルギーのポテンシャルや、欧州と中東、アジアの結節点に位置する地の利を活かした鉄道や道路、港湾、空港等の整備計画、民営化プロセスなどが紹介された。

一方、経団連側からは世界各国での質の高いインフラ整備の実績や経験等に基づく協力の可能性、外国企業がインフラに投資する際の税制優遇、資金調達支援の要望、ならびに、石炭火力や原子力などエネルギー協力の展望が示されたほか、今後の連携の方向性に関して意見交換がなされた。

■ イノベーション協力に向けた展望

最後に、イノベーション分野では、ウクライナの教育水準が高く低廉なICT人材を活用したハイテク戦略・国家プログラムや知的財産の保護など、イノベーションの促進に向けた取り組みが紹介された。

一方、経団連側からは例えば業務プロセス改善意識を従業員に浸透させるといったソフト面や、日本が強みを有する省エネ技術などを通じたイノベーション協力のあり方などを提起し、議論を深めた。

■ 主な成果と今後の取り組み

今回、経団連ではウクライナ部会委員企業を対象に日・ウクライナ間の貿易・投資にかかる課題や有望産業分野、そのほか関心事項について、事前にアンケートを実施した。その結果を踏まえ、クービウ第一副首相はじめウクライナ政府との双方向で具体的な議論を通じて、両国のビジネス関係強化に向けたポテンシャルなどを確認するとともに、直接、同国のビジネス環境上の諸課題を指摘した。また、ビジネス環境の改善を促す機会として効果的に活用した。

次回合同会議については、17年が折しも「ウクライナにおける日本年」に当たることも考慮し、適切な時期にウクライナで開催するため先方と調整していく。あわせて、日・ウクライナ投資協定発効後の進捗を踏まえ、ウクライナ政府等関係方面に適宜必要な働きかけを行っていく。

【国際経済本部】