Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月12日 No.3299  経済3団体が新年祝賀パーティーを開催 -経済界はじめ各界から1900名が出

経団連(榊原定征会長)、日本・東京商工会議所(三村明夫会頭)、経済同友会(小林喜光代表幹事)の経済3団体は5日、都内で2017年新年祝賀パーティーを開催した。各団体の会員企業代表者や安倍晋三総理大臣をはじめ政界の要人、大使館関係者ら約1900名が出席し、賀詞を交換した。

冒頭の来賓あいさつで安倍首相は、国際社会の不確実性が高まるなか、日本は安定勢力であり続けることが期待されており、力強い経済あってこそ政治は安定するとした。そのうえで、昨年並みの水準での賃上げを実現し、デフレ脱却、持続的な経済成長を図るとともに、今年は「働き方改革」断行の年であるとして、関連法案の改正を進めると述べた。これにより長時間労働などを前提とした働き方の文化を変え、昨年よりも今年、今年よりも来年が良い年になるとの希望あふれる社会をつくっていきたいとの決意を表明した。

榊原会長が共同記者会見

共同記者会見で発言する榊原会長(左)

パーティー後、榊原会長は共同記者会見に臨み、経済情勢や経済の好循環実現への取り組みなどについて見解を示した。概要は次のとおり。

■ 2017年の景気認識

昨年、日本経済はアベノミクスのもと緩やかながら着実に回復した。年後半は3四半期連続でプラス成長となり、輸出や生産などによい兆しが表れ始めた。今年、米国ではトランプ新政権が誕生、規制改革や減税などにより米国経済は活性化、拡大するだろう。新興国経済も原油や資源の価格上昇によって明るさを取り戻している。日本経済も好調な世界経済の追い風を受け、回復基調が加速、踊り場から成長軌道へ回帰を果たすとみている。世界経済全体がインフレ傾向を強めれば、日本も円安株高を背景に物価が上昇、デフレ脱却を実現する年になるだろう。多様なリスクも存在するが、これらを越えて経済の好循環を実現したい。

日本が追い風を受けているうちに成長戦略をしっかり実現していくことが重要だ。具体的には、「官民戦略プロジェクト10」を着実に実行していく。特にSociety 5.0をはじめ、21世紀型の成長を牽引する重要案件を推進し、自律的で持続的な成長につなげたい。同時に経団連の要望する規制改革、構造改革も進めなければならない。これが今年、安倍政権に一番期待したいことである。

■ 春季労使交渉

今年の春季労使交渉における経営側の基本姿勢は、17日に経労委報告を公表し表明する。基本的には、経済の好循環を力強く回し、個人消費を喚起するため、これまで3年続けてきた賃金引き上げのモメンタムを継続していくべきとしている。昨年、収益が拡大した企業には年収ベースの賃金引き上げに取り組んでほしいと呼びかけた。今年も同様のトーンで表明していく。また、3年連続の賃金引き上げにもかかわらず個人消費が伸びていない実態を分析し、対応すべきとしている。将来不安や子育て世帯の教育費負担、消費者の節約志向などに手をつけないままでは、消費は拡大しない。官民挙げて原因をきちんと分析し、取り組むことが重要だ。

■ 働き方・休み方改革

長時間労働の是正については、長く働くことがよいという文化を変えるとともに、残業時間の上限規制の導入などが重要になる。経済界自身が意識を改革し、長時間労働の慣行を変えていかなければならない。ただ、36協定の見直しに関して、研究開発職やマーケティング職など、職種によっては業務の継続性の観点から一律の規制には問題がある。労働者保護と業務の継続性の両方を勘案して上限規制を議論していくべきだ。

同一労働同一賃金についての基本的考え方は、社内で正規と非正規の間に不合理な格差があってはならないということだ。これを踏まえ、日本型の同一労働同一賃金では、さまざまな要素を総合的に勘案し均等・均衡待遇を目指す。今後、政府のガイドラインに沿って法改正に向けた検討が始まるが、会員企業の意見をしっかり踏まえながら、法改正に向けた議論に積極的に参加していく。ただ、企業の対応を進めるには、労使の話し合いも含めて時間を要するので、法律の施行まで十分な時間を取ることも必要だ。

【総務本部、広報本部】