Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月19日 No.3300  新たな技能実習制度について説明聞く -人口問題委員会企画部会

経団連は12月22日、東京・大手町の経団連会館で人口問題委員会企画部会(東出公一郎部会長)を開催し、厚生労働省職業能力開発局の高橋秀誠海外協力課長から、11月18日に成立した外国人技能実習法と関連する政省令案等について説明を受けた。説明の概要は次のとおり。

■ 技能実習制度見直しの背景

技能実習制度をめぐっては、受け入れ企業における労働法令違反や人権侵害が発生し、国際的にも批判されていた。一方で、技能実習の対象職種の拡大、実習期間の延長等の制度拡充に関する要望が寄せられていた。これらを踏まえ「日本再興戦略改訂2014」において、管理監督体制の強化を前提に制度を拡充する方針を決定し、今般の制度見直しに至った。

■ 管理監督体制の強化

主な見直し事項は、(1)二国間取り決めを交わし、相手国政府と協力して実習生やその家族から保証金を徴収するなどの不適正な送り出し機関を排除する、(2)監理団体は許可制とし、外部役員の配置もしくは外部監査の実施等を求める、(3)技能実習計画は認定制とし、日本人と同等の報酬等、実習生の適切な待遇が確保されていること等を確認する、(4)新しく外国人技能実習機構を創設し、先述の(2)および(3)にかかる申請受付や実地検査等を行う――などである。

■ 技能実習制度の拡充

優良な実習実施者・監理団体に対しては、拡充策も設けている。3年の実習期間が終了し帰国後1カ月以上が経過した後、追加で2年間の技能実習ができるようになる。なお、4年目に進むためには、旧法下で義務づけのない、技能検定3級相当の技能評価試験の実技試験に合格する必要がある。

また、受け入れ可能な実習生の人数を倍増する。対象職種についても今後、地域限定の職種や企業独自の職種も認めていく予定である。多能工養成のニーズに応えるため複数職種での実習も可能になる。

■ 優良な実習実施者・監理団体の要件

法令違反の有無、技能習得の実績、相談・支援体制の状況などを評価するポイント制を導入し、6割以上の得点があれば、優良と判断する。実習実施者である企業等については、技能評価試験の合格率を重視している。また、実習生の賃金が最低賃金を上回ると加点対象となる。

その一方で、法令違反や実習生の失踪は大きな減点となる。監理団体については、監査の実施状況や業務体制について配点上、重きを置いている。

■ 介護職の追加

介護職の技能実習については、管理監督体制の強化等のほか、介護特有の要件に対する規制を上乗せして、実施する方向で検討している。具体的には、日本語でのコミュニケーション能力があること、人権擁護等の観点から訪問介護は行わないことなどを考えている。

■ 新制度の施行

新制度の施行期日は、法律が公布された2016年11月28日から1年以内であるが、できるだけ早く施行できるよう準備したい。

【経済政策本部】