Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月19日 No.3300  国の業務改革(BPR)とマイナンバー制度について聞く -行政改革推進委員会企画部会

経団連は12月6日と15日、都内で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)を開催。総務省と内閣官房の担当者から、国の業務改革とマイナンバー制度についてそれぞれ説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 「業務改革の取り組みと今後の課題」
総務省行政管理局管理官・阿南哲也氏

総務省では、2016年8月に、「国の業務改革に関する取組方針」を大臣決定した。背景には、育児・介護等で働き方に制約のある職員の増加や若年人口の減少等がある。そうした状況下で、政府の機能を維持・向上させていくためには、業務改革を通じて付加価値の高い業務に時間を振り向けることや、誰もが働きやすいような職場環境の改善が必要である。

従来の業務改革は、定員削減の手段としての側面が強いほか、業務プロセスの一部のみに着目して申請のオンライン化やアウトソーシング等の手法を当てはめていたため、改革の効果は限定的であった。今後は、業務プロセス全体を対象に既存の制度や仕事のやり方を所与とせずに見直しを検討する業務プロセス改革(BPR=Business Process Re-engineering)に取り組んでいく。

■ 「マイナンバー制度の概要と民間活用への期待」
内閣官房社会保障改革担当室参事官・長谷川孝氏

番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するための基盤である。現在、社会保障・税・災害対策の各分野のうち、法律で定められた事務で利用可能となっており、17年7月から本格運用を開始予定の「情報提供ネットワークシステム」を通じて、各機関が保有する情報を紐付け・活用することで、各種申請や届出等に必要とされていたさまざまな添付書類が省略可能となり、国民の利便性向上が見込まれる。

現在、申請者に対してマイナンバーカードを無料で交付しているが、その裏面には電子証明書が格納されている。これを活用した公的個人認証サービス(JPKI)の利用が民間事業者に認められており、大臣認定を受けた事業者によるオンライン上での本人確認サービスの提供が始まっている。

17年7月からは「マイナポータル」の本格運用も予定している。マイナポータルにログインすると、行政機関が保有する自己の特定個人情報の確認や行政機関から配信されるお知らせの受信、地方公共団体の子育てに関するサービスの検索やオンライン申請等が可能となる。

■ 「法人番号について」
内閣官房IT総合戦略室参事官・上村昌博氏

法人番号は、国税庁長官により、国の機関や地方公共団体、設立登記法人等に指定される13桁の番号である。個人番号と異なり、利用範囲に制約はない。

法人番号の活用メリットとして、民間側には、業務横断的な取引情報の集約化や「法人番号公表サイト」を通じた新規営業先等の把握の効率化等がある。行政側も、保有する法人に関する情報を横断的に利用でき、業務効率化や効果的な政策立案・執行等につながると考えられる。

現在、各府省庁が公開する情報への法人番号の併記と、一括で検索できるポータルサイト「法人インフォメーション」を17年1月からの本格稼働に向けて構築中である。これにより、新規取引先等の開拓など、企業活動において、政府が保有する法人情報(政府による調達実績、免許・許認可、表彰等)に関する民間の利用ニーズに対応できる。

【産業政策本部】