Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月2日 No.3302  地域の観光地経営、DMOのあり方を聞く -DMO推進機構の大社氏と観光振興・地方創生に向けて懇談/観光委員会

経団連は1月23日、都内で観光委員会(冨田哲郎委員長、菰田正信委員長)を開催し、DMO推進機構の大社充代表理事と、観光振興・地方創生に向けた地域のあり方をめぐり懇談した。

大社氏はまず、昨今の観光のあり方が変化している点を指摘。従来の観光は、「旅行事業者と受け入れ地域の関連事業者のみが担ってきたが、街の生活・文化に対する観光客の関心の高まり、地域内消費における観光客の重要性の増大等を背景に、観光以外の産業や住民が参加して、『住んでよし、訪れてよし』を目指す『観光まちづくり』が登場してきた」と説明した。

そのうえで、「観光まちづくり」にあたって、個別ではなく全体最適を考える「観光地経営」の視点が重要だとの認識を示し、この機能を担う組織として、DMO(Destination Management/Marketing Organization)の導入が進められていると紹介。「財源が逼迫し、政府も成果の上がる可能性の高いところに予算を投じるようになっているなかで、地域にもこれに対応し得る体制が必要。そこでDMOが、(1)他産業、市民、地域づくり等との分野横断型の連携プラットフォームの形成(2)観光地マーケティング機能の地域への導入(3)『見える化』によるPDCAサイクルの導入(4)地域連携の推進と体制の強化・再編成――等の機能を担う」と説明した。

また、「地域を自立させるためには、自治体・金融機関・他産業がDMOと連携する体制を整備する必要がある」と指摘。「企業においても、3D映像等の先端技術の提供、地域へのノウハウの移転と人材育成、DMO向けサービスの開発等を通じて、観光地形成を支援してほしい」と締めくくった。

続く懇談では、DMOに必要な人材の育成手法について、「重要なことは道具の使い方を学んでもらうことだ。観光地経営は困難だが、関連知識・知見は十分に体系化されておらず、まずは体系化作業が不可欠だ」と説明した。

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懇談終了後、「観光立国推進基本計画」の改定に向けた提言案を審議・承認した。

【産業政策本部】