Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月16日 No.3304  清原三鷹市長から電子自治体の推進と今後の課題聞く -行政改革推進委員会

説明する清原市長

経団連は1月26日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会(山本正已委員長)を開催。三鷹市の清原慶子市長から「電子自治体の推進と今後の課題」について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 情報化の取り組み

三鷹市は1980年代に日本で初めて光ファイバーを利用したINS(Information Network System)の実証実験を行うなど、ICTを活用したまちづくりを推進している。その結果、2005年には世界テレポート連合から「Intelligent community of the year」を受賞したほか、総務省の「ユビキタス・コミュニティ推進事業」(07―09年)や「ICT街づくり推進事業」(12―13年度)に採択されるなど、ICTの活用を推進してきた。現在、「三鷹市地域情報化プラン2022」に基づき、「安全・安心な地域社会の実現」「より利便性の高い市民サービスの提供」「市民間の豊かな情報交流の実現」「災害時における事業継続性の確保」等を目指している。

■ 情報セキュリティ・マネジメントの推進と住民に対する情報サービスの提供

ICTの利活用を通じた住民サービスの高度化にあたり、情報セキュリティの確保と職員のICTリテラシーの向上に取り組んでいる。市民部を中心に11の課で国際認証であるISO27001(ISMS=Information Security Management System)を取得している。また、「情報セキュリティハンドブック」を作成・配布するなど、職員研修にも注力している。加えて、総務省が「自治体情報セキュリティ強靭性向上」の方針を打ち出すなか、(1)生体認証によるシステムログイン(2)インターネットセグメントの分離(3)都道府県へのインターネット接続口の集約――等により、高度化するサイバー攻撃等への対応を進めている。

そのうえで、ICTを活用した住民サービスとして、「三鷹中央防災公園・元気創造プラザ」の開設に伴う公共施設等を円滑に予約・利用できるシステムの改善や、運動状況や健康データの可視化による健康づくりの支援の導入を進めている。さらに、2010年からの住基カードやマイナンバーカードの利用によるコンビニエンスストアの多機能端末での住民票・印鑑登録証明書・戸籍関係証明書等の交付に加えて、17年からは市外在住者で本籍地を三鷹市とする人への戸籍関係証明書の交付の開始、スマートフォン向けの情報伝達や市の計画等の電子図書化等を提供している。

■ マイナンバー制度の活用と今後の課題

新たな社会基盤であるマイナンバー制度の施行に向けて、13年度に庁内横断のプロジェクトチームによる検討を行い、14年10月から「番号制度推進本部」を設置し、(1)情報システムの改修・整備(2)特定個人情報保護評価(PIA)の実施(3)個人情報保護条例等の関係条例の整備(4)制度の認知度を高める広報活動――等に取り組んでいる。

制度の活用に向けては、住民満足度の向上を目指す視点が重要であり、(1)各種手続きにおける添付書類の削減(2)申請主義からプッシュ型サービスへの移行(3)民間も含めた情報連携によるワンストップサービスの提供――等をあるべき姿として検討すべきだと提起している。

マイナンバー制度を含む電子自治体の課題としては、(1)情報提供ネットワークシステムのセキュリティ確保(2)行政サービスの効率化・正確性・信頼性を確保する仕組みづくり(3)マイナンバーカードの普及と公的個人認証の利活用(4)自治体ごとに異なる申請書類の様式や帳票の標準化――等が挙げられる。

暮らしの質を向上させるためには、ICTの戦略的活用が重要である。三鷹市は民・学・産・公・官の協働のもと、住民の信頼を得ながら、引き続きICTを活用したまちづくりを進めていきたい。

【産業政策本部】