Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月23日 No.3305  ソーシャルビジネスの動向と企業の連携について聞く -社会貢献担当者懇談会

説明する町野氏

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で社会貢献担当者懇談会(金田晃一座長、山ノ川実夏座長)を開催した。ソーシャルビジネス・ネットワークの町野弘明専務理事からソーシャルビジネスに関する最近の動向等について説明を受けるとともに、活発な意見交換が行われた。説明の概要は次のとおり。

当団体は米国のソーシャルベンチャーネットワーク、英国のソーシャルエンタープライズコアリションのように、社会的企業家をつなぐ組織として日本で初めて設立された団体で、今日ではソーシャルビジネスの普及・啓発も推進している。

ソーシャルビジネスとは、NPOや企業など事業形態を問わず、社会課題を解決するためにビジネスの手法を用いた取り組みであり、事業性と社会性をあわせ持つ必要がある。また、ビジネスである以上、市場の競争にさらされるため、「革新性」も求められる。

事業性と社会性の両面を有する市場はまだ小規模のため、マスを相手とする大企業にとっては参入しづらいかもしれないが、ソーシャルビジネスを得意とする社会的企業家と協働して積極的に参入してほしい。例えば、ベネッセは、東日本大震災の被災地支援にあたり、陸前高田市のまちづくり会社「なつかしい未来創造」と連携し、オンラインで学習教材の文字校正を行える仕組みを活用して現地に雇用を生み出している。

ソーシャルビジネスで成果を挙げるには、さまざまなステークホルダーに目を向け、よい信頼関係を構築することが必要となる。

国際的には、ハーバード大学のマイケル・ポーターが提唱するCSV(共通価値の創造)の考え方が浸透し、国連でSDGs(持続可能な開発目標)が採択される一方、国内的には地方創生が課題となっており、そのなかでソーシャルビジネスが注目されている。

われわれは、産学官やNPOがともに助け合い、ビジネスを通じて社会課題を解決しながら地域経営につなげる「ソーシャルタウン」の実現を目指している。

例えば、陸前高田市では、多様な主体が連携し、就労困難者にも居場所と出番があり、彼らが「匠」になれる街をつくろうとしており、東京の企業の協力も得ている。持続可能なビジネスモデルをつくり、地域が元気になる一助となるよう、企業の担当者の皆さまにも協力をお願いしたい。

【政治・社会本部】