Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月9日 No.3307  廃棄物・リサイクル行政の動向を聞く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は2月21日、東京・大手町の経団連会館で廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催し、環境省の中井徳太郎廃棄物・リサイクル対策部長から、廃棄物・リサイクル行政の動向について説明を聞いた。このうち、廃棄物処理法およびバーゼル法(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)の見直しに関する説明の概要は次のとおり。

■ 廃棄物処理法の見直し

中央環境審議会の廃棄物処理制度専門委員会は2月、廃棄物処理法の施行状況に関する報告書を取りまとめた。報告書を受け、環境省は次のとおり見直しを検討している。

(1)マニフェストの活用

昨年1月に発覚した食品廃棄物不適正転売事案等を受け、現行6カ月以下の懲役・50万円以下の罰金とされている虚偽記載等に関する罰則を1年以下の懲役・100万円以下の罰金へと引き上げる。また、年間50トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者に対し、十分な周知期間ややむを得ず登録できない場合の登録免除措置などの設定を前提に、電子マニフェストの使用を義務づける。

(2)許可を取り消された者に対する措置

現行法においては、許可を取り消された処理業者が改善命令の対象とならないため、昨年1月の食品廃棄物不適正転売事案においては、事案発覚後約半年の間、許可を取り消さなかった。改善命令の対象とするために許可を取り消さないのは本末転倒であり、許可を取り消された者であっても必要な命令の対象とする。

(3)有害物質管理のあり方

POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の規制対象廃棄物のうち、PCBやダイオキシン類以外の廃棄物が制度的に位置付けられていない。新たに特別管理廃棄物に指定することや「POPs含有産業廃棄物」と定義し、上乗せの処理基準を規定するなどの対応が考えられる。

(4)有害特性を有する使用済物品の健全な再生利用の推進

有害物質を含む廃家電等が雑多な物と混ぜられた「雑品スクラップ」が、国内の保管場所における火災や輸出先での環境汚染等の問題を引き起こしている。そこで、それらを取り扱う事業者に対し、都道府県等への届け出を義務づけ、処理基準の遵守を求めることとする。

(5)親子会社による一体的処理の特例

経団連提案を受け、一定の要件に適合する場合、特例として親会社と子会社を一体として取り扱い、産業廃棄物処理業の許可がなくとも、相互に産業廃棄物の処理ができることとする措置を導入する。

■ バーゼル法の改正案

リサイクル目的での廃電子基板や使用済鉛蓄電池の輸出入が増加している。その結果、輸出先における環境上不適正な取り扱い事案や、国際的な二次資源獲得競争の激化等が発生している。そこで、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)の国内担保法であるバーゼル法を見直し、輸出先の環境汚染防止のための審査基準等の整備や認定を受けた事業者の輸入承認を不要とする措置等を導入する。

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説明後、「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕2016年度フォローアップ調査結果」について審議した。

【環境エネルギー本部】