Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月30日 No.3310  企業の社会貢献担当者セミナーを開催 -SDGsについて日本企業における対応を考える

講演する永井氏(右)と並河氏

経団連は21日、東京・大手町の経団連会館で企業の社会貢献担当者セミナーを開催した。基調講演としてBusiness for Social Responsibility(BSR)の永井朝子日本ディレクターからSDGs(持続可能な開発目標)の最新状況について説明を聞くとともに、意見交換を行った。その後、電通ソーシャル・デザイン・エンジンの並河進代表のコーディネートのもと、ワークショップを開催。日本における持続可能な開発目標について、各社の取り組みと照らした議論が行われた。基調講演およびワークショップの概要は次のとおり。

■ 基調講演

BSRは、SDGsをビジネスの視点から注視すべきテーマと考えている。企業は法令順守の観点からの対応が求められる一方、これを契機に、SDGsを通じてマーケットや商品、サービスを創出するチャンスでもある。

国連ビジネスと持続可能な開発委員会が2017年に発表したリポートによると、SDGsはビジネスと雇用を生み出すテーマであり、目標年である2030年までに12兆ドルのマーケットと3億人以上の雇用を生み出すという。その経済効果の半分以上は、途上国におけるものだ。調査では「食と農業」「都市」「エネルギーと原材料」「健康と良い生活」の4分野において、患者の遠隔でのモニタリングや農業のテクノロジー化など、成長が期待される分野が例示されている。企業はSDGsへの対応をCSR部門に任せるだけでなく、経営企画部門において、新しいビジネスを開拓し、コアビジネスに育てていく視点が必要である。

すでに先進的な取り組みを行っている企業として、ユニリーバは、自社で「サステナブル・リビングプラン」をつくり、2020年までに10億人がより健康的で衛生的な習慣を身につけられることを目指している。エリクソンは社内外への啓発に主眼を置き、自社に関連が深いSDGs目標に関し、担当役員を任命している。武田薬品工業は社会貢献プログラムの選考にあたって、社員投票を採用している。BSR自身も企業と連携して、工場などで働く女性に対し、健康知識の向上を目指すプログラムを運営して、CSR調達の実践を支援している。教育は貧困の連鎖を断ち切れる重要な取り組みだ。社会からの信頼や政府とのよい関係づくりにも役に立つ。

■ ワークショップ

ワークショップでは、参加者が関心を持つテーマごとに、SDGsの目標を日本の状況に当てはめ、自社で取り組める事柄を議論した。

参加者からは、「人のつながりを通じて生活の質を向上する」「初等教育でダイバーシティ・インクルージョンの啓発を行う」「子どもの貧困による教育格差を2030年までにゼロにする」「住みたいところに住み続ける社会をつくる」「技術で省エネと減災を実現する」などのアイデアが示された。また、企業同士が自社の持つリソースを紹介し合い、企業間連携による取り組みも提案された。

【政治・社会本部】