Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月6日 No.3311  第36回日本・香港経済合同委員会を開催 -日・香港協力の可能性を探る

あいさつする永易委員長

経団連の日本・香港経済委員会(永易克典委員長)は3月23、24の両日、香港で第36回日本・香港経済合同委員会を開催した。日本側からは永易委員長はじめ16名が、香港側からは香港・日本経済委員長のビクター・チャ委員長はじめ16名が参加した。当日の議論の概要は次のとおり。

■ 中国・香港経済の動向

会議の開会にあたりあいさつしたビクター・チャ委員長は、香港にとって日本は第4位の貿易相手国であり、重要なパートナーであることを強調。貿易にとどまらない双方の関係のさらなる発展に強い期待を示した。これに対し永易委員長は、世界有数の国際金融センターおよび物流センターである香港は、金融面を中心としたイノベーションと世界に開かれた発展という点を重視して成長を続けていることを指摘。日本との共通の関心事項であるイノベーションならびにグローバリゼーション分野での協力に大きな可能性があるとした。

続いて香港側から、最新の香港・中国経済の動向について説明が行われた。3月の中国・全国人民代表大会(全人代)で2017年の中国の経済成長率目標が6.5%に引き下げられたことについては、構造改革とのトレードオフであるとの見解が示された。さらに、中国経済はサービス産業への転換を図っているため、成長率が低下するなかでも多くの雇用を創出できると強調した。そのうえで、香港経済は完全雇用に近い雇用状況を背景に強い国内需要が続く一方、成長を牽引する輸出が、台頭する保護主義の動きに大きな影響を受けかねないとして、懸念を示した。

■ 日・香港協力

今後日・香港協力の大きな拡大が望める分野として、「フィンテック」と「スマートシティ」「香港を経由した第三国投資」「交通と人の移動」を取り上げ、議論を行った。

フィンテックについては、双方の取り組みが紹介され、香港側からは世界的金融センターである香港と日本が協力を進めることにより、世界をリードすることができるとの発言があった。また、スマートシティについては、日本側から、わが国が有する最先端の環境・省エネ技術、ICT技術を活かした「柏の葉スマートシティ」の取り組みを紹介、香港側メンバーの視察にも期待が示された。

来年の日本・香港経済合同委員会は日本での開催が予定されている。引き続き、双方が抱える課題について議論を行い、経済関係の活性化に取り組んでいく。

【国際協力本部】