Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月20日 No.3313  野村ホールディングスにおけるLGBTの取り組みを聞く

説明する東氏

経団連の女性の活躍推進委員会(伊藤一郎委員長、吉田晴乃委員長)は、ダイバーシティ推進における課題の1つである「LGBT」(性的マイノリティー)に関する企業の取り組みについて検討を行っている。その一環として、3月30日、東京・大手町の経団連会館で同委員会企画部会(中川順子部会長)を開催し、野村證券人材開発部兼人事部エグゼクティブ・ディレクター/タレントマネジメント・ジャパンヘッドの東由紀氏から、「野村ホールディングスにおけるLGBTの取り組み」と題して説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ダイバーシティ&インクルージョンとは

野村グループでは、現在70カ国以上の国籍の社員が働いており、多様性を尊重した人材育成は最重要課題の1つである。そこで、「ダイバーシティ&インクルージョン」という理念のもと、多様な価値観・人材が存在するだけでなく、会社が多様性を受容しその能力を活用することにより、価値を創造することを目指している。

このためには、社員一人ひとりが周囲の多様性に気づき、そのうえで、多様な人材と一緒に働くためにはどのように働くべきかを考え理解する社内風土を醸成していかなくてはならない。同時に、特に管理職は、多様な社員を束ねていかに成果につなげていくかを考えなくてはならない。それができて初めて、多様な人材が活かされ、ダイバーシティ&インクルージョンが会社の価値創造につながる。

■ LGBTに関する取り組み推進の意義と“LGBTアライ”の重要性

企業がLGBTに関する取り組みを推進する意義は大きい。人材の獲得と退職の抑制、生産性向上、先進的な企業としてのブランドイメージ向上、人権侵害などによる訴訟リスクの回避、LGBTをターゲットとしたビジネスの展開など、さまざまな要素が考えられる。

当社では、(1)性別にかかわらずパートナーも社員の大事な家族としてとらえた人事制度の整備(2)社員ネットワークによる職場に“アライ”(後述)を増やす取り組みの推進(3)研修(4)「性指向」と「性自認」に対する差別禁止を明文化した人権規程の改定――など、さまざまな取り組みを進めている。

2つ目のアライとは、英語のAlly(同盟、支援者)が語源で、LGBTをはじめとする性的マイノリティーのことを理解し、自分にできることは何かを考えて行動する支援者という意味である。日系企業では、LGBTであることをカミングアウトしている当事者が非常に少ないため、アライの存在は重要である。アライは、誤った認識を客観的に正すことができるほか、職場で当事者のニーズを代弁できる。

「アライとして何ができるか」という問いに、正解があるわけではない。イベントに参加して勉強する、周囲の人と話をする、言葉遣いに気をつける、周囲の人間の誤解や不適切な言動を指摘するなど、さまざまなことが考えられるが、まずは自分がアライであることを周囲に発信することが重要である。

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その後の意見交換では、企業がダイバーシティ&インクルージョンを推進するうえでの課題や、LGBTのなかでも特にトランスジェンダーへの対応などについて、活発な意見交換があった。

【政治・社会本部】