Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年5月18日 No.3315  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は5月8日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

まず、フランス大統領選で39歳と若いマクロン氏が当選したことに言及。閣僚経験を有し人脈も豊富で、フランスの舵取り、EUの運営・発展への貢献を期待すると表明した。

今回の選挙結果は、3月のオランダ総選挙に続き、欧州における反EU、ナショナリズムの拡大の歯止めとなり、大きな意味を持つとした。また、ドイツ地方選挙におけるメルケル首相の与党CDUの勝利に触れ、EUが安定を取り戻せば欧州経済は安定成長軌道へ回帰するとして、EUの枠組み維持は、特に欧州で事業活動を行う日本企業に重要と強調した。米国経済の足取りも力強く、世界経済全体は明るい方向に進むとの認識を示した。

憲法改正については、安倍自民党総裁が方向性を明示したことを経済界としても重要で重い発言と受け止めていると述べた。憲法施行から70年間、わが国は平和憲法のもと平和と繁栄を享受してきたことを高く評価しつつ、この間日本を取り巻く状況は大きく変化し、国際社会における日本の役割や国民の考え方も変わってきていることに言及。経団連として憲法問題にかかわる基本的な考え方をあらためて取りまとめる考えを示した。

具体的には、総合政策委員会で論点整理のうえ夏季フォーラムで議論し、年内を目処に見解をまとめたいと述べた。ただし、憲法論議も大事だが、安倍政権には経済最優先で取り組んでほしいとした。

TPPについて、経団連は一貫して12カ国での実現を要望し、その意義を訴えてきたが、米国の撤退表明により、当面12カ国でのTPPは困難との認識を示した。そのうえで、TPPの意図する、アジア太平洋地域における質の高い包括的かつ自由で開かれた枠組み構築の重要性を強調。

現在議論されているTPP11はその実現に向けた第一歩であり、12カ国でのTPPにもつながると評価。経団連はTPP11を追求する政府の取り組みを支持すると述べ、今後、各種の政府間会合を経て、11月のAPEC首脳会議におけるTPP11が実現することに期待を示した。

経団連の最重要課題の1つである経済外交について、当面の最優先課題は日米関係の強化であり、訪米ミッションの派遣などに取り組むとした。また、対中関係では「一帯一路国際協力サミットフォーラム」への参加や日中間の周年事業(2017年は国交正常化45周年、2018年は平和友好条約40周年にあたる)を通じて、二国間交流を密にしていくとした。

一帯一路構想に関しては、アジア地域でのインフラ整備は重要課題の1つであり、ADBとAIIBの協調融資などを通じて推進していく必要があると述べた。

【広報本部】