Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年6月8日 No.3318  榊原会長が副会長とともに総会後に記者会見

経団連の榊原定征会長は5月31日、都内のホテルで定時総会後の記者会見に臨んだ。

■ 経団連70周年と4年目の課題

榊原会長はまず、経団連70周年にあたり、経団連設立時の使命は戦後の日本経済の復興・再生と健全な発展であり、先人たちが血の滲むような努力で日本経済の立て直しを進め、世界第3位の経済大国を築き上げたことに言及。オイルショック、貿易摩擦、プラザ合意による円高、バブル崩壊、アジア通貨危機、リーマンショックなど、世界経済を揺るがす試練に直面した際、経団連は産業界の総司令塔として、その克服に貢献してきたと述べた。現在、日本経済は多様な課題に直面し、経団連の役割は一層重要になっているとして、経済・社会全般の改革の牽引役を担うべく、国益や国の将来を見据えた骨太の政策提言とその実現に向けた働きかけ、すなわち「Policy & Action」を果敢に進めていくとの決意を示した。

今年度の優先課題について、第1にデフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつけるべく、成長戦略の推進、特にSociety 5.0の実現に強力に取り組むとした。第2の構造改革の推進では、企業活動をさらに促進する税制や規制の改革や、国民の将来不安を払拭するため、社会保障制度改革や財政健全化などの改革にも真正面から取り組む必要があると述べた。第3に自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化の重要性を指摘。米国やEU、中国・韓国、インド、ロシアとの経済協力関係の強化をはじめ、経済外交を積極的に展開していくとした。第四に東京オリンピック・パラリンピックの開催や大阪万博の誘致など、国家的行司の成功に向けて、オールジャパンの一翼を担うことを挙げた。

■ 成長戦略の推進

デフレ脱却・経済再生のカギを握る成長戦略の柱である「官民戦略プロジェクト10」を推進していく必要性を強調。Society 5.0、健康立国、スポーツ振興、サービス産業の生産性向上、農業の成長産業化、観光立国、消費活性化などを確実に実行する考えを示した。

企業・経済界の課題は、積極経営の推進、設備投資や研究開発投資などを拡大し経済成長を牽引していくことだと指摘。4年連続のベア実現、高水準での賞与の妥結など、賃金引き上げに自ら取り組み経済好循環のトリガー役を果たしており、このモメンタムを継続したいと述べた。また、働き方改革に関し、企業自らが生産性向上に取り組み、長時間労働でなくても利益を出せる体質へと変えていく必要があるとの考えを示した。

■ 財政再建

財政再建は至上命題であり、まずは2020年のPB黒字化を確実に達成すべきだと強調。これは将来世代に対する現役世代の義務であり、国家としての信認を得るための前提であるとした。そのうえで、18年度までの集中改革期間で社会保障関係費の自然増を年間5000億円、非社会保障の歳出の伸びを300億円に収める「目安」を順守し歳出改革を継続すること、経済・財政再生計画改革工程表のすべての項目を実行することが必要とした。また、19年の消費税率引き上げは国際公約であり、確実に実施すべきだと述べた。

■ 待機児童対策

安倍首相が18年度から20年度までの3年間で22万人、22年度末までに10万人の受け皿を整備する構想を発表したことは、政府の強い意志、覚悟を示すものと歓迎の意を表した。今後の企業の貢献については、会員企業の声を踏まえ前向きに検討していくと述べた。

■ 生産性向上への取り組み

製造業の生産管理のエキスパートがサービス業の現場に入り、生産性向上を図り、コスト削減や生産性改善がなされたことを紹介。今回発足した生産性向上国民運動推進協議会に経団連や連合などが参加し、大企業のノウハウを中小企業等に移転し、国全体の生産性の向上、国際競争力の強化につなげていくとした。

■ 休み方改革

キッズウイークについて、学校休日を弾力的に運用し、児童の休暇に合わせて保護者が休暇を取得できるようにするもので、経団連は賛成であるとした。安倍総理から環境整備への協力要請があり、働き方・休み方改革、消費喚起の両面から推進していきたいと述べた。

会見には榊原会長とともに副会長18名が同席。新たに選任された4名の副会長がそれぞれ経団連活動への抱負を述べた。

【広報本部】