Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年6月15日 No.3319  サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに朝田日本ロシア経済委員長が参加

日露ラウンドテーブルでスピーチを行う朝田委員長(中央)

経団連では、昨年末のウラジーミル・プーチン大統領来日時、両国首脳列席のもと、かつてない規模の「日露ビジネス対話」を開催するなど、日露関係を新たな次元へと高める取り組みを進めている。

また、安倍晋三総理大臣から提示された8項目の「協力プラン」(※) にかかるプロジェクトの具体化を積極的に支援するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善をロシア連邦政府はじめ関係方面に働きかけている。

こうしたなか、経団連の朝田照男日本ロシア経済委員長は6月1日から3日の日程で、サンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムに参加し、2日目の「日露ラウンドテーブル」で経団連を代表してスピーチを行った。

世耕弘成経済産業大臣やマクシム・オレシュキン経済発展大臣はじめ日露関係者約150名が参加した同ラウンドテーブルでの朝田委員長のスピーチの概要は次のとおり。

■ 日露間の認識ギャップ

経団連では、8項目の「協力プラン」にかかるプロジェクトの具体化に向けて、ロシア官民の関係者とともに取り組んでいるが、日露双方の認識に一部ズレが生じている。

具体的には、日本側の取り組みに対し、ロシア側から「ロシアの投資環境は着実に改善しているにもかかわらず、日本からの投資は諸外国に比べて見劣りする」という不満を耳にすることが多い。

一方、経団連が毎年行うアンケートでは、ロシアのビジネス環境に関し、日本企業から多くの改善要望が寄せられている。

■ 投資に対する適正な利益確保の重要性

ロシアへの投資に対するリターンを確保する仕組みがなければ、日本からの投資増加はおぼつかない。例えば、道路や鉄道の利用料金支払いを一定程度政府が保証する仕組みによって、ロシアでのPPP(官民パートナーシップ)案件に取り組みやすくなる。

類似の仕組みは、さまざまな国のインフラ案件に多数適用されている。具体的には、運行開始から10年程度、政府から毎月一定金額が支払われ、PPPに参画した企業が金利を含め出資分を確実に回収できるという仕組みである。これにより外国民間企業の参入リスクが大きく低減し、PPPを通じた各種案件への投資の促進が期待される。

また、投資に対するリターンの回収を確実にすべく、ルーブルから円やドルへの転換を保証する為替の仕組みづくりも必要である。あわせて、日本の政府系機関のさらなる有効活用も求められよう。

■ ビジネス環境の不断の改善をもたらす仕組みづくりを

経団連では、こうした具体的な提案等を含め、日露双方が投資促進に際しての問題の原因を特定し、ウィンウィンの解決策を探るための実効的なフォローアップの仕組みのあり方を検討している。

両国の官民の間で認識を共有し、不断の改善につなげていく実効的なメカニズムを構築することによって、「投資環境の改善」と「対露投資の増加」という好循環を生み出すべく、経団連として取り組んでいく。

※ (1)健康寿命の伸長 (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大 (4)エネルギー (5)ロシアの産業多様化・生産性向上 (6)極東の産業振興・輸出基地化 (7)先端技術協力 (8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】