Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年6月29日 No.3321  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は6月26日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

交渉が大詰めを迎えている日EU EPAについて榊原会長は、10年来の経済界の期待・要望であり、これまでさまざまな場を通じて早期実現を訴えてきたことに言及。その実現は日本とEUの双方にとって、成長と雇用の創出につながるとともに、何よりもルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の形成に大いに資するものであるとした。また、反グローバリズムや保護主義の傾向が強まるなか、世界経済の3割弱、世界貿易の3割超を占める日本とEUが、大規模で高水準、かつ包括的なEPAに合意することの意義は大きく、世界に対して力強く前向きなメッセージを発信することになると述べた。7月のEUとの首脳会談で大筋合意を目指したいとの安倍総理の発言を紹介しつつ、経済界として、その実現に強い期待を表明した。

原子力政策については、わが国のエネルギー基本計画において、3E+Sに照らし、安全性確保と地元理解を前提に重要なベースロード電源として活用するとされており、経済界としてもこれを支持していると述べた。また、東芝の原子力発電事業の縮小や韓国での脱原発に向けた動きによって、わが国の基本的なエネルギー政策が影響されることはないとした。

今夏に発効する見通しの日印原子力協定については、わが国の先進的な技術を導入することにより、インドのエネルギー事情が改善されることへの期待を示した。また、「核兵器のない世界」の実現という目標も日印首脳会談で共有されており、本協定は、軍縮・核不拡散にも配慮された枠組みであるとの認識を示した。韓国の脱原発に向けた動きについては、今後具体的にどう対処していくのか、関心を持って見守っていきたいとした。

また、開催まで3年余りと間近に迫る東京オリンピック・パラリンピックについて、経済界がオリンピック・パラリンピック等経済界協議会を通じ、2020年に向けた国民の機運醸成、大会後のレガシーの形成、スポーツの普及、障がい者スポーツの支援、社会のバリアフリー化、地方創生などの活動を展開し、全面的にサポートしていることを紹介。大きな経済効果が期待されるオリンピック・パラリンピックを支持し、実現していくことが経済界の役割であると述べた。

最低賃金については、経済の好循環実現のためには一定程度の賃金引き上げが求められると述べた。その一方で、中小企業にとって経営の負担となっていることも事実であるとした。そうしたなか、人手不足を背景に中小企業を中心に賃金の上昇圧力は確実に強まっており、人材確保のためにも一定の賃金引き上げが必要であることに言及。中央最低賃金審議会において、適切な結論を導き出せるよう、経団連としても同審議会の議論に関わっていくと述べた。

【広報本部】