Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月6日 No.3322  米国ビザセミナーを開催 -米国移民法やビザ取得手続きの最新動向など

経団連は6月14日、東京・大手町の経団連会館で「米国ビザセミナー」を開催し、米国大使館のクレイ・アドラー副総領事兼ビザチーフおよび弁護士のリチャード・ゴールドスティーン氏(ゴールドスティーン&リー法律事務所)から、米国移民法やビザ取得手続きの最新動向などについて説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ アドラー副総領事兼ビザチーフ

大統領選挙以来、米国内の政治状況は変わったが、日本企業にかかわる移民法の手続きについて大きな変化はなく、米国はビジネスに対してオープンである。

日本から米国への訪問者は毎年300万人を超え、大半がビザ免除プログラム(ESTA)で渡航している。ESTA申請書の記載内容に間違いがある場合、認証が拒否されビザ取得が必要になってしまうので、申請書は慎重に記入してほしい。旅行者は、ESTAオンライン申請書およびDS-160オンラインビザ申請書に記載する情報について責任を負う。

2011年3月1日以降にイラク、イラン、スーダン、シリア、リビア、ソマリアまたはイエメンに渡航歴がある場合には、短期商用・観光用のB-1/B-2ビザを取得する必要がある。滞在期間は6カ月まで、有効期間は10年である。事業相談や会議への参加、調査活動は可能であるが、就労は認められない。

他方、次の2種類のビザは、米国での就労が可能である。1つ目はLビザであり、企業の幹部や特殊知識を有する社員が企業内転勤する際に取得する。駐在期間は最長7年である。2つ目は、特殊技能者用のH1-Bビザであり、最長6年の駐在が認められる。ただし、H1-Bビザによる米国渡航者数には上限が設けられている。

LビザおよびH1-Bビザは、嘆願書ベースで発行されるため、(1)企業による米国移民局への嘆願書提出(2)米国大使館における申請者の面接――の2段階の手続きを要する。

E-1、E-2ビザは、日米友好通商航海条約に基づく米国でのビジネスを望む日本人貿易駐在員および投資駐在員向けビザである。企業は株主の過半数以上が日本国籍であることが求められる。E-1ビザの場合、申請者が米国との間で実質的かつ継続的な貿易活動を行うこと、E-2ビザの場合、申請者が米国における実質的な投資事業を発展させ運営を指揮することが可能となる。

両ビザは、LビザおよびH1-Bビザと異なり、米国国土安全保障省に嘆願書を提出する必要がない。また、発行数に上限もなく、5年ごとに更新可能である。さらに、滞在期間に制限がなく、費用も安い。このように利点が多いことから、日本のビジネス用に発行されるビザの最大割合(約6割)を占める。また、世界で最もEビザが発行されている国も日本である。今後も、ビザを有効に活用し、日本企業には積極的に米国でのビジネスを展開してほしい。

■ ゴールドスティーン氏

トランプ大統領は、イスラム圏の6カ国からの入国を禁止する大統領令に署名しているが、米国は、日本からの観光客や投資に対してオープンであり、歓迎している。

H1-Bビザについては、トランプ大統領は審査の厳格化方針を表明しており、議会に法改正を求めることも検討するとしているので、発行件数が減る可能性がある。

E-1、E-2ビザは優れたビザカテゴリーである。申請されたビザのカテゴリーに間違いがないかどうかの確認は、米国領事館にとって大変なことと思われるが、日本にある米国領事館は2~3週間という世界で最も短い期間内に処理しており、ビザの迅速な発行姿勢を堅持している。

企業の人事部などがビザ書類を代理で作成する場合も、申請者自身が書類を確認し、自らオンライン申請を行うことが重要である。

【国際経済本部】