Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月13日 No.3323  ビジネスにおける持続可能な開発目標(SDGs)の意義について聞く -企業行動・CSR委員会企画部会

説明するベグリオ氏(右)

経団連の企業行動・CSR委員会企画部会(小口正範部会長、森川典子部会長)は7月3日、東京・大手町の経団連会館で、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)のフィリッポ・ベグリオ・マネージング・ディレクターから、ビジネスにおける持続可能な開発目標(SDGs)の意義について説明を聞くとともに、意見交換を行った。

説明の概要は次のとおり。

■ SDGsの国際社会への意味合い

WBCSDは、世界の経済界の立場から「持続可能な開発」について提言することを目的として1992年に設立された団体である。グローバル企業約200社を会員に持つWBCSDでは現在、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて企業・経済界に求められる取り組みやそのあり方ついて、さまざまな提案を行っている。

SDGsとは、経済社会を変革するアジェンダであり、目標達成のための強制力を有するものではないが、革命的な変革や改革を必要とするものである。また、SDGsの各目標は、相互に関連しあっているため、全体的なアプローチが求められることが多いことに加え、先進国・途上国を問わずグローバル社会全体に関わる普遍的・包摂的な目標であるため、企業の果たす役割が大きいと考えられる。こうした意識は企業のトップレベルでも共有されており、2016年の調査によると、グローバル企業のCEOの70%がSDGsをサステナビリティーへの取り組みに関するフレームワークを提供するものととらえているほか、87%が自社の価値創造に向けたアプローチを再考する良い機会を提供するものと考えている。

■ 持続可能な開発目標CEO向けガイド

WBCSDでは、SDGsの達成に向けて、まず企業トップの意識変革が重要であると考え「持続可能な開発目標CEO向けガイド」を作成した。同ガイドでは、SDGsの達成に向けた企業の役割やとるべき行動に加え、CEOのためのアクションプランを簡潔かつ明確に示している。例えば、ビジネスの観点からSDGsの持つ意義を、(1)行動しないことでビジネス機会を逃すリスク(2)企業戦略にSDGsを取り組むことでビジネスの機会を創出することによる利益(3)ガバナンスと透明性の確保(4)さまざまなステークホルダーとの協働の必要性――の4つの視点から説明している。

また、CEOには、企業として、自社の事業が経済、社会、環境に与える影響を評価し、プラスの影響の強化とマイナスの影響の軽減に取り組むべきこと、SDGsの観点からのビジネスソリューションの策定、社会との対話を行うことをアクションプランとして提案している。

◇◇◇

説明後の意見交換では、出席者から企業がSDGs達成に貢献するうえで政府が果たすべき役割についての質問や、日本はCSRへの取り組みをより積極的にアピールすべきなどとの意見が出された。

【教育・CSR本部】