Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月13日 No.3323  ワシントン・リポート<2> -独立記念日の花火を見上げる複雑な思い

7月4日の独立記念日。ある日系新聞社の計らいで、ホワイトハウス近くのビルの屋上から花火を観賞した。ビル勤務者が家族、知人を呼び、屋上のソファとテーブルは、ピクニックさながらの盛況だった。眼下のホワイトハウスは、赤、白、青にライトアップされ、ワシントン・モニュメントがそびえるモールを大勢の人が埋めつくしていた。

後ろのテーブルにいた初老の女性が水割りを片手に、「トランプ大統領をどう思うか」と聞いてきた。答えに窮して「あなたこそ、どう思う」と返すと、苦笑しつつ「私は投票していない」との答え。すぐに周りの人たちが、「私も投票していない」と寄ってきた。北朝鮮が、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行ったことにも話が及び、「大統領の反応がとても心配だ」ということで、素直に独立記念日を祝い難い雰囲気が漂った。

遠くに目を転じると、ワシントン郊外にリゾート施設として開発されたナショナル・ハーバーをはじめバージニア州の各地でたくさんの花火が同時に上がるのが小さく見えた。それぞれの場所に行けば花火は大きく、見上げている人々のなかにはトランプ大統領を支持し、その活躍に期待している人も多いのだろうと感じた。モールを埋めつくした人々のなかにも地方から出てきたトランプ支持者が多かったに違いない。

そうしたなかワシントンでは、いろいろな動きが進んでいる。6日には、CSIS(戦略国際問題研究所)が「Managing US-China Relations: American and Chinese Perspectives」と題するセミナーを開催した。半分も埋まらないこともある会議場は満杯で、大勢の中国系参加者がみられた。同セミナーはCSISと中国の主要大学、シンクタンクの研究者が共同でまとめたリポートを披露するもので、ジョン・ハムレ所長のあいさつに続き、マイケル・グリーン上級副所長・日本部長が軍事について、またステープルトン・ロイ元中国大使が政治経済について、それぞれパネルディスカッションを司会した。軍事パネルでは、北朝鮮問題における中国の対応に期待する声が相次いだが、明確な具体策は示されなかった。政治経済パネルでは、中国の対米投資は歓迎されつつも、通商法などの法令順守の重要性が指摘された。

米中間には意見の違いもさまざまあるが、非常に強靭な関係ができている、との発言が印象的だった。ワシントンにおける中国の影響力は看過できない。

それに先立ち、キャピトル・ヒルでタミー・ダックワース上院議員(イリノイ州選出、民主党)の法令アシスタント、ヴィラヌエバさんに再会した。ヴィラヌエバさんには、5月末の一時帰国の折、国際交流センターの議員スタッフ訪日団のメンバーとして経団連でお目にかかった。担当はヘルスケアや移民問題で、TPPに対する姿勢は慎重だったが、5月に経団連訪米ミッションがイリノイ州を訪れた話で盛り上がり、今後も連絡を取り合うことになった。

(米国事務所長 山越厚志)