Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月10日 No.3327  コンテンツ海外展開支援事業(J―LOP)の4年間の成果について聞く -産業競争力強化委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会

経団連の産業競争力強化委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)は7月25日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、映像産業振興機構(VIPO)の市井三衛専務理事から「コンテンツ海外展開支援事業(J―LOP)の4年間の成果とJ―LOP4の現状」について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ J―LOPの設立目的・背景

J―LOPは日本の文化や商品、サービス全体の認知度を向上させ、海外における日本の影響力を一層高める観点から、2013年3月に設立された。コンテンツの海外展開を行う事業者に対して、費用の一部を補助金として交付することにより、日本のコンテンツの海外展開を支援し、日本ブーム創出に伴う関連産業の海外展開の拡大や訪日観光の促進により地域活性化につなげることを目的としている。J―LOPは政府のクールジャパン政策の1つに位置づけられており、VIPOは当初から事業の運営全般を担っている。

■ 直接的な効果

13年3月に基金が創設されてから17年3月までの4年間で合計5623件、282億円分の案件が採択された。事業展開国はアジア、ヨーロッパ、北米を中心として143カ国に上り、コンテンツ企業の海外進出にとどまらず、コンテンツを活用した一般企業や中小企業への支援、地域経済の活性化にもつながっている。

■ 間接的な効果

15年のコンテンツ業界全体の海外売り上げは、13年と比較して3097億円増加した。また、日本のコンテンツをきっかけとして訪日した外国人は、12年から16年にかけて283万人増加(2.27倍)し、その間の当該外国人の訪日消費額は4995億円増加(2.74倍)したと推計される。これらの効果がすべてJ―LOPによるものではないが、一定程度の貢献はしていると考えている。

■ J―LOP4の現状

直近では、16年度補正予算において、「コンテンツグローバル需要創出基盤整備事業費補助金(J―LOP4)」が設立され、17年6月末時点で527件の交付が決定している。

<意見交換>

参加した企業からは、わが国のコンテンツ産業の振興とともに、日本経済の活性化に寄与すると期待されるJ―LOPが今後も継続することを望む声が上がった。また、東京オリンピック・パラリンピックや誘致に向けて取り組んでいる大阪・関西万博等によって、日本のコンテンツの海外展開が促進される機会が増加することを踏まえ、オールジャパンでの取り組みをさらに推進することの重要性についても指摘があった。

【産業政策本部】