Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月21日 No.3331  「平成29年度健康経営度調査」に関する説明会を開催

経団連は9月7日、東京・大手町の経団連会館で「平成29年度健康経営度調査」に関する説明会を開催した。同調査を実施している経済産業省の西川和見課長から、「健康経営」推進の背景や今年度の調査の概要について聞くとともに、調査委託先の日経リサーチ社から、調査のポイントについて説明を聞いた。西川氏の説明の概要は次のとおり。

■ 健康経営推進の背景

高齢化率の急速な高まりに伴い社会保障費の拡大が財政を圧迫する要因となるなか、若年時から生活習慣の改善などを通じ、高齢になった際の医療費・介護費の伸びを抑制していくことが重要となっている。また、国民の平均寿命の延伸に伴う「生涯現役」を前提とした、社会経済システムの再構築も課題である。このようななか、現役世代の健康維持を図り、就業構造を支える国民運動としての健康経営に対する関心が高まっている。

健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性を高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営学的視点からとらえ、戦略的に実践することである。長期的ビジョンに基づく従業員への健康投資を行うことにより、活力や生産性の向上が図られ、業績向上・企業価値向上等の効果が期待できる。最近では、就職先を検討するうえでも企業の健康経営への取り組みが重要な要素となるなど、労働市場における認識も高まっている。加えて、健康経営の推進は、国民のQOL向上、ヘルスケア産業の創出といった社会的な効果も期待される。

■ 健康経営の顕彰制度および健康経営度調査

経産省は、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」し、社会的な評価を受けられる環境の整備を目的に、東京証券取引所や日本健康会議と連携し顕彰制度を実施している。上場会社を対象とした「健康経営銘柄」は24社、「健康経営優良法人」は大規模法人部門で235法人、同中小規模法人部門で318法人が認定を受けている。

認定にあたり、必須となるのが「健康経営度調査」への参加である。昨年度は726法人が調査に参加、2014年度の初回調査に比べ回答率は1.5倍となった。一方で業種により回答率に差があり、上場企業で回答率3割を超えるのは5業種にとどまっている。今後、より多くの企業の協力をお願いしたい。

今年度の健康経営度調査を選定や認定に活用する「健康経営銘柄2018」および「健康経営優良法人2018(大規模法人部門)」では、取り組みの質を評価する観点を選考のポイントとし、施策実施の有無だけではなく、施策のカバー率や参加率などを問う設問を追加した。また、認定要件として、法令により事業者や保険者の義務とされている定期健診や特定健診・特定保健指導などの実施を必須項目とする。

このほか来年度の健康経営銘柄2019および健康経営優良法人2019(大規模法人部門)では、受動喫煙対策に関する取り組みが必須項目となる(今年度は選択項目)。

※ 健康経営度調査の詳細は、経産省のウェブサイトを参照
http://www.meti.go.jp/press/2017/09/20170907002/20170907002.html

【経済政策本部】