Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月12日 No.3334  日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉に関する懇談会を開催 -日本トルコ経済委員会

説明するヤプジュ首席交渉官

日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第7回会合が9月27日から29日にかけて東京で開催され、トルコ側首席交渉官を務める経済省のムラト・ヤプジュEU局長はじめ政府代表団一行が来日した。そこで、経団連の日本トルコ経済委員会(山西健一郎委員長、斎藤保委員長)は9月26日、ヤプジュ首席交渉官から、日・トルコEPA交渉の現状や二国間経済関係等について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日・トルコEPA交渉の現状

日・トルコEPAの締結を通じて、段階的削減も含め、両国間の関税障壁を完全に撤廃することを目指している。物品関税はもとより、投資、サービス、公共調達など、極めて多岐にわたる分野の自由化交渉が進捗しているのも、日本とトルコが競争相手ではなく、相互補完的な関係にあることが大きな理由の1つである。

加えて、今年7月に大枠合意に至った日EU EPA交渉は、今後の日・トルコEPA交渉にも大きな影響を与えることが予想される。日EU間で合意された内容を、日・トルコEPAにどこまで反映させられるかが、交渉妥結に向けた大きなポイントになろう。

■ 二国間貿易インバランスの是正に向けて

トルコと日本の双方向貿易高は、2016年に約43億ドルに達した。しかし、トルコから日本への輸出が3.5億ドル強であるのに対して、トルコの日本からの輸入は39億ドル以上と、大幅な輸入超過となっている。

トルコから日本への主要輸出品目が、パスタやマグロ等農水産物である一方、日本からの主要輸入品目は自動車や自動車部品であることにより、この貿易インバランスの構造は過去20年ほど変わっていない。マカロニやトマト加工食品等は、決して日本の生産者や市場を直接的に脅かすものではなく、日本側にも一定の対応を期待したい。

■ 対トルコ直接投資の拡大に向けて

日・トルコEPAの締結は、貿易のみならず投資にも大きく貢献する。すでに224もの日本企業がトルコに進出し、過去10年間に約22億ドルもの直接投資(累計)を行っているが、EPA締結の暁には、トルコを欧州や中東・北アフリカ等への輸出を図る際の生産拠点としても活用してもらえるだろう。

なお、経団連からもかねて要望のある、就労許認可手続きにおいて発給要件とされているトルコ人雇用義務(注1)、いわゆる「1対5ルール」については、経済省や労働社会保障省など、トルコ政府内で協議を進めており、日・トルコEPA交渉でも実質的な緩和に向けてしかるべく対応していく方向である。

日・トルコEPAについて貴重な提言(注2)をいただいている経団連からも、引き続き支援をお願いしたい。

(注1)2010年8月、トルコ労働社会保障省から、就労許可の発給を求める外国人1人当たり最低5人のトルコ人の雇用を義務づける旨の通達が発出された

(注2)「日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉の早期開始を求める」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2012/021.html
「緊急提言:日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉の早期開始を求める」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/113.html

【国際経済本部】