Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月23日 No.3340  「自転車活用推進計画」の策定に向けた政府の検討状況等を聞く -都市・住宅政策委員会企画部会

経団連の都市・住宅政策委員会企画部会(安達博治部会長)は11月2日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、国土交通省の東潔大臣官房審議官(道路局担当)と大野昌仁参事官から、今年5月に施行された「自転車活用推進法」に基づく推進計画の策定に向けた政府の検討状況等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 自転車活用推進法について

交通混雑の緩和や災害時における機動性等の面で自転車の果たす役割は大きい。そこで、自転車の活用を推進するため、2016年12月に自転車活用推進法が成立した。法律には「自転車活用推進計画」の策定が盛り込まれており、政府は来年夏の閣議決定を目指している。現在、国交省に設置した「自転車活用推進本部」で、関係者の意見聴取を実施するなど計画案の策定を進めているところである。

■ 自転車の活用推進に関する取り組み

(1)自転車空間の確保

かつて自転車は車道を走っていたが、交通事故の危険性が高まったため、歩道を走るよう誘導した。しかし、現在では歩行者と自転車の通行空間の分離が課題となっており、自転車の通行スペースを確保できるよう検討している。

(2)自転車と公共交通機関の連携

駅周辺の駐輪場の収容能力は増加しており、放置自転車は減少傾向にある。こうした取り組みを引き続き進めるとともに、自転車積載が可能なサイクルトレインやサイクルバスの導入を進めていく。

(3)コミュニティサイクルの導入

昨年度までに本格導入もしくは社会実験を実施した都市は全国で100に上る。これまでは自治体が中心となって推進してきたが、今後は民間サービスとして導入が進むことが期待される。

(4)安全性向上

一時停止等のルールを遵守しない自転車が散見されることから、利用者に対する安全教育の推進に努めている。

安全な自転車の供給を確保するため、道路交通法等で定められた基準を満たさない自転車は道路を走行することができないこととなっている。それに加え、自転車製造や点検整備等に関して業界が自主的に定めた基準や民間資格が存在する。

(5)サイクルツーリズム

瀬戸内の「しまなみ海道」(広島県尾道市~愛媛県今治市)において、サイクリングロードを形成するとともに、休憩スポットや修理対応等、ソフト面の対応も図っている。また、北海道ではモデルルートの設定や受け入れ環境の改善が進められている。

(6)災害時の避難、健康増進、国際交流

自転車は災害時における避難手段として有効であり、平野部では自動車並みの性能を発揮できる。さらに、国民の健康増進、国際交流の観点からも有用であり、さまざまな取り組みを進めているところである。

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自転車活用推進本部事務局では、自転車通勤や企業活動における自転車の利用に関する課題、自転車の利用推進に関する先進的な取り組みの把握に努めている。協力いただける場合は、以下の連絡先までご連絡いただきたい。

◇ 連絡先 国土交通省道路局(電話03―5253―8497)

【産業政策本部】