Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月30日 No.3341  GPIFが考えるESG投資について聞く -女性の活躍推進委員会企画部会

説明する水野氏(左)と塩村氏

経団連の女性の活躍推進委員会(吉田晴乃委員長、柄澤康喜委員長)は女性の活躍を通じた経済成長の加速に向け、今後求められる施策について検討を進めている。11月14日、東京・大手町の経団連会館で企画部会(中川順子部会長)を開催し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼CIO、塩村賢史投資戦略部エコノミスト・ストラテジストから、「GPIFが考えるESG投資~MSCI日本株女性活躍指数(WIN)を中心に」をテーマに説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ GPIFが考えるESG投資

近年、わが国企業の経営は、「三方よし」の考え方に代表される「日本的経営」からコーポレートガバナンス強化の方向に向かっている。欧米の企業は、リーマンショックの反省を踏まえて「株主至上主義」を改め、より多様なステークホルダーを意識した取り組みを進めている。GPIFは、「日本的経営」と「株主至上主義」の中間点、つまり株主・従業員・顧客・取引先などあらゆるステークホルダーとの協働こそが、企業経営のあるべき姿だと考えている。

こうした考えのもと、GPIFは、国際連合のPRI(責任投資原則)に署名したうえでESG(環境・社会・ガバナンス)投資を進めている。また、近年多くの企業がSDGs(持続可能な開発目標)に賛同している。機関投資家と企業それぞれが社会的課題の解決に向け努力することで、投資機会と事業機会が同時に生まれ、双方の利益につながる。

■ WINの特徴

GPIFが採用しているESG指数の1つに、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)がある。これは、女性活躍推進法により開示されるデータに基づき、多面的に企業の性別多様性スコアを算出し、業種ごとにスコアの高い企業を選別して構築したものである。スコアの算出方法はすべて公表されており、各雇用段階(採用・勤続・昇進等)における女性比率の高さやその開示度合いなどに対し評価が行われている。

わが国の企業の取り組みやその成果は、公表されていないことが多い。自社のESG評価を高めるには、取り組みに自信を持ち、積極的に公表することが重要である。

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説明後の意見交換では、わが国企業のESG評価向上に向けた施策などについて、活発な議論が行われた。

【政治・社会本部】