Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年12月7日 No.3342  横浜市への企業提案の実現に向け意見交換

経団連は11月22日、東京・大手町の経団連会館で生活サービス委員会企画部会(澤田純部会長)を開催し、横浜市が抱える課題の解決に向け、経団連が昨年7月に横浜市へ提出した企業提案の実現に向け、同市担当者との意見交換を実施した。あわせて、今後の部会の進め方を検討するべく、博報堂執行役員・博報堂生活者アカデミー主宰の嶋本達嗣氏と博報堂生活総合研究所所長の石寺修三氏から、少子高齢化社会における生活者の実態や2025年の社会のあり方などについて説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 横浜市説明

廃校などの公共施設の利活用・整備等に関する企業提案を受け、横浜市では、栄区上郷東地区にある旧庄戸中学校の活用案を学識経験者や地域住民から成る「上郷東地区まちの再生・活性化委員会」および分科会において検討した。今後は、活用案の実現に向け、企業と住民を交えた意見交換の機会を持ちたいと考えている。

活用案は、多世代が活き活きと暮らすまちを支える場所となることを目指し、次の4つの柱から構成されている。

  1. 元気にいつまでも安心して地域で暮らす(総合案内・相談所、医療・要介護高齢者等のケア支援、健康増進・介護予防、障害者の社会参加と地域貢献)
  2. 若い世代の定住支援を強化する(子育て支援機能を導入する、居住しながら働ける魅力的な場づくり)
  3. コミュニティー活動の拠点を設ける(独自のコミュニティーハウスを再整備、総合スポーツセンターとしての利活用、地域防災拠点として継続)
  4. 環境を活かした特徴的な魅力をつくる(周辺の緑環境の魅力で来訪者を増やす、地域の特性を活かした「事業」の創出)

これらのなかからより多くの内容を実現していきたい。

■ 博報堂説明

未来を考えるには、人間への深い理解が必要となる。その際に、大局(時系列の統計データ)と細部(暮らしの現場の調査)の往復を大切にしている。また、物事の明るい面を考えるというスタンスも重要である。日本は少子高齢化による課題先進国であるが、必ずしも悪い面ばかりではないと考えている。

(1)シルバー30年変化

現在の高齢者(調査対象=60~74歳)は、雇用形態の多様化、高齢者に関するサービス・情報の充実、親の介護などを通じ、30年前の同世代と比較して、長寿社会に対する心の準備ができている。

また、それに伴い、持続可能性に力点を置いた人生設計(「退かない」「頼らない」「気負わない」スタンス)を立てている点が特徴である。

(2)こども20年変化

子ども(調査対象=小学4年生~中学2年生)は、20年前と現在で変わらない点が多い。しかし、親子関係の緊密化やインターネット環境の充実などにより、「人間関係」「情報」「消費」の面での意識や行動については、大きな変化がみられる。

彼らは、現実世界のコミュニケーションの延長としてインターネットを用い、古い・新しいに関係なくコンテンツにアクセスし、モノやサービスが無料で手に入るのが当たり前の環境で育った世代である。企業としては、彼らの行動パターンから、今後の社会や市場を考えるヒントを見つける必要がある。

(3)2025年の街・ひと・くらし

少子高齢化が進んだ未来の社会では、現在のような街は存続しなくなる可能性がある。しかし、生活者は新しい暮らし方を選ぶことにより、この変化を巧みに乗り越えることができると考えている。その際のポイントは、街の「生活空間」と「人間関係」になる。

「生活空間」については、家に機能をほとんど持たず、必要な機能を家の外で他人と共有するか、家の機能を高度化し、家の中で生活を完結できる暮らしを選ぶかに大別される。

「人間関係」については、周囲と助け合いながら生きるかと、他人に気がねせず生きるかに分けられる。

こうした2つの軸により、「鍵のないまち」「住所のないまち」「壁のないまち」「窓のないまち」という4つの街の未来シナリオがつくられる。これらのシナリオは、いずれも国内外に事例が出てきており、どれも2025年において起こり得るものだ。

【産業政策本部】